首都圏エリアの不動産競売情報を扱う株式会社エステートタイムズ(所在地:東京都豊島区、代表:阿南 順也)は、2016年上期の不動産競売統計(期間入札)を発表します。
■概況
関東エリア1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産競売物件は、物件数の減少と高い落札率が続いていますが、物件数の減少にはやや歯止めがかかりつつあり、落札率はわずかに低下しました。落札価格はゆるやかな上昇傾向を示しながら、高い水準を維持しています。
■期間入札物件数
期間入札の物件数は2010年以降減少し続けており、今年も前年同時期と比べて東京都と千葉県では減少しましたが、神奈川県は前年とほぼ同数、埼玉県はやや増加しました。
東京都は昨年上期は東京地裁本庁(都区部及び島嶼)で大幅に物件数が減少(前年同時期比マイナス30%以上)しましたが、今年は前年同時期比マイナス18%と減少幅は小さくなりました。また、立川支部(多摩地)区では前年とほほ同じ物件数でした。1都3県のほぼ全ての地裁本庁・支部単位で物件数が減少した昨年と異なり、今年は横浜地裁本庁・川崎支部・小田原支部、さいたま地裁川越支部・越谷支部などわずかながら物件数が増加した裁判所もありました。
しかし、東京地裁本庁や千葉地裁本庁(県北西部を除く県内ほぼ全域)といった管轄区域の広い裁判所で物件数が減少したため、1都3県全体では物件数はマイナス10%と減少の傾向は続いています。首都圏のその他各県は、群馬県と栃木県は若干の減少、茨城県は約30%、山梨県は約20%減少しました。
■入札状況
落札率は2010年以降各都県で高い水準が続いており、今年も東京都区部及びその隣接エリアでは大部分の物件が落札されていますが、1都3県全体の落札率は前年同時期よりも、やや低下しました。全般的に高い落札率が続いていますが、支部では昨年から今年にかけて下落傾向の裁判所が増えています。東京都は東京地裁本庁では昨年同様落札率は99%ですが、立川支部は89.5%(マイナス5.1ポイント)、神奈川県は横浜地裁本庁・川崎支部・相模原支部では従来どおり高い落札率ですが、横須賀支部は64.4%(マイナス12.6ポイント)、小田原支部は74.2%(マイナス12.6ポイント)と低下しました。埼玉県はさいたま地裁本庁は前年よりやや上昇し97.1%と高い落札率でしたが、越谷支部は93.1%(マイナス5.9ポイント)、熊谷支部は89.5%(プラス13.1ポイント)、川越支部は87.3%(マイナス6.4ポイント)でした。
1都3県以外の首都圏エリアでは山梨県は74.1%(プラス8.8ポイント)に上昇、茨城県は水戸地裁土浦支部が95.5%(プラス4.4ポイント)、龍ケ崎支部が90.9%(プラス5.7ポイント)と90%を超えており、茨城県全体では87%、群馬県は74%、栃木県は73%とそれぞれ前年と大きく変わりませんでした。
落札された物件の平均入札本数は昨年同時期よりも東京都はやや減少、千葉県はやや増加しました。従来、入札本数の多い東京地裁本庁と横浜地裁川崎支部は、昨年は入札本数がさらに増加しましたが今年は土地付建物は前年とほぼ同数、マンションは15.7本(マイナス2.2本)、12.9本(マイナス3.8本)と減少しました。また、東京地裁立川支部、さいたま地裁本庁・各支部でもマンションの入札数は若干減少しました。(落札率は期間入札の公告に付された物件中、取下等で開札の対象外となった物件を除いた落札物件の割合)。
■物件価格
入札対象となった物件の価格(売却基準価額)の中央値は昨年は各都県で上昇しましたが、今年は東京都1,334万円(マイナス140万円)、神奈川県934万円(マイナス128万円)、埼玉県657万円(マイナス86万円)と下落、千葉県は539万円(プラス9万円)で前年とほぼ同じでした。東京地裁本庁の基準価額は平均公示地価格は11%上昇しましたが、基準価額1,000万円以下の小規模の物件の割合が26%から33%と増えたため売却基準価額の中央値は下落しました。
物件の落札価格(対売却基準価額の乖離率中央値)は東京都、神奈川県、埼玉県は前年同期時よりもやや上昇し、昨年上昇した千葉県は今年は下落しました。東京都は東京地裁本庁・立川支部どちらも土地付建物・マンションともに上昇、神奈川県は横浜地裁本庁のマンション、川崎支部・相模原支部の土地付建物の上昇幅が大きく、横須賀支部は土地付建物・マンションともに下落しました。埼玉県の土地付建物はさいたま地裁本庁で上昇し川越支部は下落、マンションは越谷支部が上昇しました。千葉県は千葉地裁本庁・松戸支部ともに土地付建物は下落しマンションは上昇しましたが、千葉県は前年の同時期の落札価格が高かったことがあり、昨年下期と比較すると上昇しています。千葉県の土地付建物の落札価格は以前から高い傾向があり、今年も1.8倍と首都圏の都県では最も高くなっています。
首都圏のその他エリアでは山梨県が1.47倍と上昇(プラス0.16)、茨城県は地裁本庁・各支部1.6倍以上でしたが全体では前年とほぼ同じ、栃木県は宇都宮地裁本庁はやや下落しました。
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