特定非営利活動(NPO)法人PHIJP(日本パッシブハウス協会)は、2018年8月9日(木)に東京国際フォーラム/ガラス棟会議室G502において、「パッシブ住宅は高くない!?」をテーマにサマーセミナーを開催します。
2020年春には、新築建物のエネルギー性能に義務基準が導入され、開示も義務化されると言われていますが、気候変動抑制は待った無しの状況にあり、住宅分野での温室効果ガス排出抑制には大きな期待が寄せられています。このような背景から、ゼロエネルギー住宅(ZEH)補助金を始めとして、市場に出回る住宅のエネルギー性能を引き上がるための色々な誘導政策が打ち出されており、何れも「断熱」「省エネ」「創エネ」の三分野の方策の上手な組合せを求めていますが、とりわけ我が国の得意産業分野の育成を睨んで、「省エネ」「創エネ」策を優遇した市場誘導を狙っているように見えます。
一方で、新築住宅の活況が伝えられる米国では、「建設地の気候条件に準拠した断熱」性能の革新的向上を前提としたパッシブハウスが、寒冷地・蒸暑地を問わず全米各地で年々倍々の住戸数で普及しており、高性能住宅市場が熱い視線を集めています。
我が国の住宅市場では、高性能住宅は未だ高嶺の花で、時には屋内空間の(温熱)快適性を置き去りにし、ランニングコスト抑制だけ特化した節約や省エネの議論に終始することも多く見受けられる状況にあります。
今回のサマーセミナーでは、気候変動を抑制する手段として、また高齢化が進むなか高齢者の循環器疾患を抑制し健康寿命を伸ばす方策として、大きな期待が寄せられる「高性能住宅」について、屋内空間の快適性をしっかりと担保したエネルギー性能の引き上げと建築コストの抑制法に関して、米国での最新高性能住宅事情を紹介しながら、工務店と建築士の視点から議論を深めてゆきます。「寿命を伸ばし快適・省エネ・高耐久な家は創れる!?」を、住宅専門誌の編集者が工務店経営者や建築士だけで無く研究者の意見を織り交ぜ、問題に深く切り込みます。
【プログラム】
~持続可能な社会を支える気候に適したパッシブハウス~
13:30 開会
13:40 セミナー
~ ・第一部 基調講演「性能基準を駆使して広がる米国式パッシブハウスの創り方」
14:50 芝池 英樹/京都工芸繊維大学准教授・博(工) 当法人理事長
・第二部 ビデオ講演
「北米パッシブハウスの普及の鍵 専門家養成講座(CPHC(R))と蒸暑気候対策」
岡田 さよ/SA2 Studio 当協会北米在住理事
北島 いずみ/PEABODY ARCHIYECT 当協会北米在住理事
・第三部 PHIUSビルダー講習体験記「PHビルダー教育が高性能住宅普及の鍵!?」
林 和義/株式会社ハヤシ工務店代表 当協会理事
15:00 パネルディスカッション「高性能住宅は高く無い!鍵を握るのは工務店と建築士」
~ コーディネーター 三浦 祐成/新建新聞社代表取締役社長
16:45 パネリスト 前 真之/東京大学大学院准教授・博(工)
芝池 英樹/(前出)
大橋 周二/有限会社大橋建築設計室代表 当協会副理事長
林 和義/(前出)
(敬称略)
【PHIUSでは】
米国(大西洋岸)では、除湿や湿気調整という我が国と共通の気候依存問題を抱え、最善の方向性を導くにおいて、近年パッシブ建築の認証数が急増しており、2017年度には1,000戸超の延べ認証数となる急拡大を支えている理由としては、以下の4点が挙げられています。
(1)気候条件に準拠したパッシブ建築の認証基準PHIUS+2015が多様で経済性を兼ね備えた設計案を許容できる柔軟性の高い『性能基準』であること。
(2)高性能住宅の3D形状を含めた数値性能評価を可能にする使い易いアプリケーションWUFI Passive/Plus/2Dの活用が認証過程を支援していること。
(3)このWUFI Passive/Plus/2Dを使いこなしてPHIUS+ 2015をクリアする設計案を創出できるPHIUS公認パッシブハウス・コンサルタント(CPHC(R))が全米で500名以上も育っていること。
(4)最近は新築集合住宅や施設建築、戸建て改修が下支えしていること。
【パッシブハウスとは】
ー便益を最大化し、損失を最小限に抑えるー
パッシブな建築手法は、この一文に要約されます。パッシブな建築は、特定の計量できる快適指標を許容範囲内に収めながら、定量化可能で厳密なエネルギー使用効率が要求レベルを達成するために利用される一連の設計原理で、創られます。そのためにパッシブな建物は、以下の5つの建物科学の原則に従って設計され、施工されます。
5つのポイント:
1)熱橋をなくすため、外皮全体に連続断熱層を採用
2)外気の漏入や空調エネルギーの浪費を防ぐために、建物の外皮は高気密に
3)高性能な窓(通常は三重ガラス)とドアを採用
4)潜熱回収(HRV)か全熱回収(ERV)できる第1種換気システムと最小限の空調システム使用
5)暖房期間には太陽熱を活用し、冷房期には加熱が最小限になるように、日射熱を調整
パッシブ建築の原理は、全ての建築種別、戸建て住宅、集合住宅、事務所ビル、高層ビルに応用できます。パッシブな計画の戦略は、暖房と冷房の季節に拘わらず、快適で安定した室温で建物を維持するために、家電製品や居住者からの発熱を含めた幅広い要因を注意深くみて調整します。さらに重要なことは、性能を数値で明確化することにあります。気密測定は建築中と完工時の2回、換気風量測定は完工時に、それぞれ第3者が測定をすることで数値の公明性が高まります。その結果、パッシブ建築は、エネルギー効率が優れているだけではなく、最大な長期的利益をもたらします。
【会員への特典】
<会員共通>
・PHIJPが主催するイベント、セミナー、講演会での参加費優遇
・PHIJP(PHIUS+2015)認証費用優遇
・パッシブハウス等の建築依頼案件に対する建設該当地域会員・事業者の推薦、紹介
<正会員>
・PHIUS+2015認定取得のための指導と支援
・パッシブハウス建築コスト抑制のための情報提供と支援
・パッシブハウスの販売戦略立案と受注の支援
・ZEHの設計、施工に関する情報提供、技術支援と経済性向上のための相談
・連続断熱層を組み込んだHeat20基準案件への設計、施工技術支援と財務相談
<その他>
賛助会員
・PHIJPが主催するイベント、セミナー、講演会での出展割引(出展の場合、経費は出展者負担)
・PHIJPのWEBサイトでの社名紹介
その他
【法人概要】
名称 : 特定非営利活動法人 PHIJP(日本パッシブハウス協会)
代表者 : 理事長 芝池 英樹
所在地 : 〒104-0032 東京都中央区八丁堀3-8-1
TEL/FAX: 03-6280-3373/03-6745-8432
URL :
https://phi-jp.org/詳細はこちらプレスリリース提供元:@Press