グローバル都市不動産研究所所長 市川 宏雄 氏 監修
投資用不動産を扱う株式会社グローバル・リンク・マネジメント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:金大仲、以下「GLM」)は、(1)東京という都市を分析しその魅力を世界に向けて発信すること、(2)不動産を核とした新しいサービスの開発、等を目的に、明治大学名誉教授 市川宏雄 氏を所長に迎え、「グローバル都市不動産研究所(以下、同研究所)」を2019年1月1日に設立しました。(
https://www.global-link-m.com/company/institute/)
同研究所では調査・研究の第二弾として、東京都への人口流入について分析し、20~24歳の女性が東京都を目指す理由、東京23区のうちどの区を選んでいるのかについて調査し、2020年以降に転入超過する可能性が高いエリアを予測いたしました。
=分析結果ダイジェスト=
■TOPICS1.
東京都に20~24歳の女性が多く転入している。地方⇒政令市⇒東京の流れ
・3大都市(東京都・大阪府・愛知県)では、東京都が22年連続の転入超過で、2018年は8万人超。
・男女別にみると2009年以降は女性が男性を大幅に上回り、特に20~24歳の女性が多く転入している。
・政令市から東京都に対して流入しており、政令市へは地方から人口が流入している。政令市から東京への転入超過数は横浜、札幌、仙台、福岡の順に多く、名古屋は女性が男性に比べて3倍多い。逆に川崎市では転出者が多く、東京都の家賃の高さから都心への交通の便が良い川崎駅、登戸駅、溝の口駅などへの移住と予測。
■TOPICS2.
女性の上京理由は「東京で暮らしたかったから」、「親元や地元を離れたかったから」が多い。全体の半数が「将来地元に戻る予定はない」と回答。
・上京した理由は男女ともに「進学」と「東京で働きたかったから」が多い。特に女性は「新しい生活をはじめたい」「都会への憧れ」が男性と比較して多い。
・現在東京都で働いている人が地元の就職先を選ばなかった理由は、20代女性は「東京で暮らしたかったから」「親元や地元を離れたかったから」が際立って高い結果に。また、男女ともに全体の約半数が「将来地元に戻る予定はない」と回答。特に女性の方が東京に残りたい傾向があった。
■TOPICS3.
2020年以降転入超過する可能性が高いエリアとして品川区、足立区に注目
・20~24歳の年齢層でみると、世田谷区、大田区、杉並区、練馬区、板橋区の転入者数・転入超過数はいずれも女性の数が男性を上回り、女性人気が高く定着しやすい区といえる。
・巷で人気の区(渋谷区、港区、目黒区)と実際の転入区には差がある。
・転入超過数でみると、6位以下に品川区、新宿区、中野区、足立区、豊島区が並ぶ。近年、品川区、足立区が上昇を見せている。交通利便性や家賃の面で2020年以降女性が定着しやすい注目エリアとして予測。
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■TOPICS1.
東京都に20~24歳の女性が多く転入している。地方⇒政令市⇒東京の流れ
総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告(2018年)」の結果概要が本年1月に発表され、4月下旬には詳細集計データが公開されました。同研究所では、これらのデータを用いて東京都への人口流入の状況について詳細に分析いたしました。
・3大都市への人口流入・流出の状況(2018年)
3大都市(東京都・大阪府・愛知県)への転入・転出超過数を見ると、東京都は8万2,774人の転入超過となっており、前年に比べ7,276人拡大しています。一方、大阪府は5,197人の転入超過、愛知県は2,159人の転入超過となりました(図1)。
東京都は1997年以降、22年連続で転入超過しています。一方、大阪府および愛知県の転入超過数は2009年以降1万人を超えることがなく、東京都への人口集中が加速していることが分かります。
・東京都への人口流入の状況、女性が男性を大幅に上回る
東京都への転入超過数は2009~2012年は一旦落ち込みましたが、その後急激に増加しています。男女別に見ると、1997年以降の男女の転入超過数はほぼ同数でしたが、2009年以降は女性が男性を大幅に上回るようになりました(図2)。
東京都への転入・転出超過数を年齢階層別にみると、15~29歳の年齢階層が大きく転入超過となっています。これは進学・就職を機に東京都に流入したことが想定されます(図3)。
20~24歳の年齢階層に着目すると、この年齢階層の女性を中心に転入が年々増加し、転入超過数も女性(30,667人)が男性(25,216人)を大きく上回っています。この結果から、20~24歳の女性の転入が、東京都への転入超過数増加の重要なポイントとなっているといえます(図4)。
・地方から政令市へ、政令市から東京都へ
地方の中心的な都市である政令指定都市(札幌市、仙台市、名古屋市、京都市、大阪市、岡山市、広島市、福岡市など)では、地方の郊外から人口が流入しています。しかし、政令市からも東京都に対して転出超過となっています。とくに札幌市、仙台市、福岡市などでは女性の転出超過が高い結果となりました(図5)。大学進学を機に政令市に引っ越し、就職のときには東京都に転出していくパターンが多いと推測されます。
■TOPICS2.
女性の上京理由は「東京で暮らしたかったから」、「親元や地元を離れたかったから」が多い。全体の半数が「将来地元に戻る予定はない」と回答。
20~24歳の女性の転入が、東京都への転入超過数増加の重要なポイントであることを分析してきましたが、同研究所ではさらに20~24歳の女性が東京を目指す理由や上京の際に重視している点について調査しました。
・東京都に上京した理由、女性は「新しい生活をはじめたい」「都会への憧れ」が高い結果に
上京経験のある男女を対象にGLM独自に意識調査を実施しました(※1)。これによると、東京都に上京した理由・上京するにあたって重視したことは、学生時代に上京した者も含まれるため、「東京に進学したい大学や専門学校があったから」(39.8%)が最も高く、「東京で働きたかったから」(25.2%)、「異動や家族の都合」(20.6%)と続きました。
男女別でみると、女性は男性と比較して「新しい生活を始めたいと思ったから」、「地元や親元を離れたかったから」、「都会に憧れがあったから」、「交通の便が良いから」、「趣味をより楽しみたかったから」が特に高い結果となりました(図6)。
・地元の就職先を選ばなかった理由、女性は「東京都で仕事をする」「親元や地元を離れる」を重視
同研究所では現在東京都で働いている人に対し、地元の就職先を選ばなかった理由を調査。その結果、男女ともに「東京都で仕事をしたかったから」(48.8%)、「東京都で暮らしたかったら」(33.1%)が多く、男女で比較すると男性は「東京都で仕事をすること」をより重視し、女性は「親元や地元を離れること」をより重視していることが分かりました(図7)。
・東京に住む場所を考えるときは、女性は「日常生活のしやすさ」「治安の良さ」を重視
同調査によると、東京に住む場所を考えるときに重視したことは、男女ともに「都心や仕事場に近く通勤時間が短いこと」(55.4%)、「鉄道の最寄り駅に近いこと」(39.4%)が多く、アクセスを重視していることが分かりました。女性は「買い物などの日常生活がしやすい」、「治安が良く安心・安全」、「家賃が手頃な価格か」を特に重視する傾向がありました(図8)。
・20代上京者のうち、約半数が将来地元に戻る予定はない
同調査によると、現在東京都に在住している対象者のうち、男女ともに全体の約半数にあたる46.4%が「将来地元に戻る予定はない」と回答。特に女性の方が東京に残りたい傾向にあることが分かりました。「具体的な時期は未定だがいつか戻りたいと考えている」は20.4%という結果になりました(図9)。
・地元に戻りたい理由、女性は「東京での暮らしに疲れたから」がトップに
「将来地元に戻りたい」と回答した対象者の理由を調査したところ、女性は「東京での暮らしに疲れたから」が最も多いことが分かりました。また、男性は女性と比較して、「Uターン就職・転職のため」、「インターネットを使ってどこでも仕事ができるから」が多い結果となりました(図10)。
(※1)調査対象:上京経験のある東京都在住の20~29歳の男女を対象に、インターネットによるアンケート調査を実施
本調査期間:2019年9月13日(金)~9月19日(木)/有効回答数:500人(男女250人ずつ)
■TOPICS3.
2020年以降転入超過する可能性が高いエリアとして品川区、足立区に注目
上京した理由を男女別に調査してきました。そこで、20~24歳の女性が上京した時に、東京23区のうちどの区を選んでいるのかを男女別に分析し、2020年以降も転入超過する可能性が高いエリアについて予想しました。
・転入者数TOP5は世田谷区、大田区、杉並区、練馬区、板橋区。
転入者数が多いTOP5は世田谷区、大田区、杉並区、練馬区、板橋区であり、該当の5区は女性の転入者数が男性を上回っています(図11)。転入超過数でも女性の方が高い値を示しており、2014年から5年連続で上位5位を占め、定着する人も多い「鉄板人気区」であると言えます(図12)。これらの区は都心部への交通利便性も良く、自然環境や都市のイメージも良さそうだとの評価が高い区でもあります。
・住みたい街と実際の転入区には差がある
「SUUMO住みたい街ランキング2019関東版」(株式会社リクルート住まいカンパニー)によると、1位の港区、2位の世田谷区が3位以下を離して2年連続TOP2になっています(図13)。1位の港区、3位の目黒区、4位の渋谷区のような都心で住みたいという憧れはあるものの、家賃が高いため大田区、杉並区、練馬区に流れているものと予想できます。
・2020年以降転入超過する可能性が高いエリアとして品川区、足立区に注目
転入者数6位以下は品川区、新宿区、中野区、足立区、豊島区が並び、近年では品川区、足立区が上昇を見せています。品川区は山手線新駅「高輪ゲートウェイ」開業を皮切りに大規模開発を予定しており、足立区は大学の移転・開設や北千住エリアの発展で注目度が上がっています。同研究所では、今後これらの地区は交通利便性や家賃の面でも、2020年以降女性が定着しやすい注目エリアとして予測します。また、現時点では男性の方が転入超過している中野区と足立区、葛飾区に、女性の転入が増えるかどうかも注目です。
■都市政策の専門家 市川 宏雄 所長による分析結果統括
~若い女性の東京志向が加速~
東京圏(1都3県)への流入は止まることなく、昨年には流入と流出の差がとうとう13万5,600人となった。東京都の流入超過数も8万2,700人である。
その中で目立つのが政令指定都市からの20~24歳の女性の転入である。その理由は「東京に憧れがあった」、「親元や地元を離れたかったから」など、東京での新しい生活に魅力を感じていることで、そこには男性より明確な意志が存在している。
彼女たちに好まれるのが、世田谷、大田、杉並という西南地区の伝統的な住宅地だ。この3区は今後も人気が衰えることはないと言える。さらにコスト的にお得な練馬、板橋がこれに続く。交通利便性、買い物、治安と、お値段との相談で決めているのである。今後は品川、足立が注目である。
地方創生政策で地方への移住促進が叫ばれる中で、若い女性は東京志向をますます強めている。そして、男女ともに全体の半数近くが「将来地元に戻る予定はない」と考えていることが分かった。
■取材可能事項
本件に関して、下記2名へのインタビューが可能です。
・氏名 :市川 宏雄(いちかわ ひろお)
・生年月日:1947年 東京生まれ(71歳)
・略歴:早稲田大学理工学部建築学科、同大学院修士課程、博士課程(都市計画)を経て、カナダ政府留学生として、カナダ都市計画の権威であるウォータールー大学大学院博士課程(都市地域計画)を修了(Ph.D.)。一級建築士。世界の都市間競争の視点から大都市の将来を構想し、東京の政策には30年間にわたり関わってきた。東京研究の第一人者。
現在、明治大学名誉教授、日本危機管理防災学会・会長、日本テレワーク学会・会長、大都市政策研究機構・理事長、日本危機管理士機構・理事長、森記念財団都市戦略研究所・業務理事、町田市・未来づくり研究所長、Steering Board Member of Future of Urban Development and Services Committee, World Economic Forum(ダボス会議)in Switzerlandなど、要職多数。
・氏名 :金 大仲(きむ てじゅん)
・役職:株式会社グローバル・リンク・マネジメント 代表取締役
・生年月日:1974年6月2日(45歳)
・略歴:神奈川大学法学部法律学科卒業。新卒で金融機関に入社。その後、家業の飲食店を経て大手デベロッパー企業に転職し年間トップセールスを達成。そこでの経験を経て30歳の時に独立し、グローバル・リンク・マネジメントを設立。
※ご取材をご希望の際は、グローバル・リンク・マネジメントのIR・広報課までお問い合わせください。
■株式会社グローバル・リンク・マネジメント 会社概要
・会社名:株式会社グローバル・リンク・マネジメント
・所在地:東京都渋谷区道玄坂1丁目12番1号渋谷マークシティウエスト14階(総合受付18階)
・代表者:代表取締役 金 大仲
・設立年月日:2005年3月
・資本金:499百万円(2019年6月期末現在)
・業務内容:不動産開発、分譲、賃貸管理、マンション管理、仲介
・免許登録:宅地建物取引業 東京都知事(3)第84454号、マンション管理業 国土交通大臣(2)第033627号
・所属加盟団体:(社)東京都宅地建物取引業協会、(社)全国宅地建物取引業保証協会、(社)全国住宅産業協会、(財)東日本不動産流通機構、(社)首都圏中高層住宅協会
・関連会社:株式会社グローバル・リンク・パートナーズ
・役員:専務取締役 富永 康将、取締役 鈴木 東洋、取締役 富田 直樹、取締役 中山 満則、
社外取締役 賀茂 淳一、社外取締役 琴 基浩、社外取締役 中西 和幸
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