不動産賃貸仲介大手のハウスコム株式会社(所在地:東京都港区 代表取締役社長執行役員:田村 穂 東京証券取引所 市場第一部 コード番号:3275)は 、令和元年12月15日に新宿ミライナタワーにて、「大学生ビジネスコンテスト 住まいサービス業 × 地域 新規事業の創出」の決勝戦を開催した。
決勝戦では、11月27日の予選を勝ち抜いた3チームが審査員からフィードバックなどを元に事業アイディアをさらに強化して、同世代の学生で満員となった会場でプレゼンテーションを行った。
[動画:
https://www.youtube.com/watch?v=EnrjzmRvmHY ]
優勝チームの事業アイディアは、東証1部のハウスコム社が具現化に協力してくれるとあって、学生の意欲はまさに本気そのものだ。
予選では、審査員の方から「その収益モデルは少し甘すぎないか?」、「他のサービスとの差別化はどう図るのか?」など、事業計画に関する指摘が多かった。
しかし、決勝戦では、現役のビジネスマンや業界を知り尽くした審査員から、「この事業の社会的な大義は一体何なのか?」、「この事業はどれだけ大きな社会の負を解決するのか?」などと言った、ビジネスの核心に迫る部分の質問が容赦無く学生たちに襲いかかる。
なぜなら、どれだけ事業計画が完璧でも、社会的な大義や、世の中の負をどれだけ解決できるかという部分が明確になっていなくては、長期的に事業を行っていくためのモチベーションが生み出せないからだ。
新しい事業を始める時に一番大切なことは、収益性でも差別化の戦略でもない。一番大切なのは、その事業を行う人の熱意がどれだけ本物で、長い時間をかけて、それをやり切るだけの情熱があるかということ。
審査員の厳しい質問を受けても、どれだけ自分の強い信念を持ち続けていられるか、まさに、審査員の言葉、一言、一言が学生の本気度を試しているようにも感じた。
学生たちがどれだけ頑張っても、ビジネス面では、もう何十年もの経験がある審査員に敵うはずがない。
唯一、審査員の心が動く部分があるとすれば、「私たちはどうしても、この事業をやりたい!何とか理解してくれ!」という熱意の部分だろう。
松下幸之助は「若さは、どれだけお金を積んでも手に入れることができない。若いと言うことだけで十分偉い。」と言った。
多くの人は、社会に出ると様々な技術や経験を身につけていくが、それと平行して、世の中の現実にも直面し、徐々に若い頃に持っていた熱意を失っていってしまう。
恐らくこれは、これまで数えきれないほどのビジネスマンを見てきた審査員たちが一番理解していることだろう。
決勝は、学生のプレゼンテーションよりも、質疑応答やディスカッションの部分に多くの時間が取られたが、審査員たちはビジネス的な質問をしているように見えて、実は、学生の信念がどれだけブレないかということを試している。
極端に言えば、「ビジネス経験は全くないが、熱意だけは何百倍もある学生」と「ビジネス経験は豊富にあるが、少し若者の熱意が羨ましく感じる審査員達」との戦いなのだ。
ここで、決勝でさらに強化された3チームのビジネスアイディアを紹介したい。
チーム「SIVIO」
チーム「SIVIO」は、予選で都会で疲れ切った人達と人材不足などで困る地方の一次産業をマッチングさせるサービス「ここアナ(ここがあなたのアナザースカイ)」を提案した。
「ユーザーの幸せを本気で考える」をミッションに、都会で仕事にやりがいを感じられていない人達に、まずは旅行感覚で地方に行ってもらい一次産業の仕事を体験しながら、地方の良さを知ってもらうというものだ。
予選では、都会と地方の問題を解決をする上で需要のあるサービスだと評価を受けつつも、「一次産業は人間関係なども含めて、大変なことが多い」、「一次産業の仕事をすることで、果たして若者は幸せになるのか?」という審査員からの指摘があった。
決勝では、市場が小さくなってしまう一次産業という制限を取り払うという大きな勝負に出たチーム「SIVIO」。
地方の企業にまで職業体験先を広げることで、都会で一生を終えるのではなく、地方でも充実した生活を送るための個人の選択肢を広げるという提案だ。
特に若い人達は、その「企業」で働くのか、それとも、その「地域」で働くのかを真剣に考える傾向にあり、地方にはまだまだ知られていないような元気な企業が数多くある。
地方でありながら、その場所、その企業でしかできない体験をどれだけ多く提供できるかが、サービス成功の運命を左右することになりそうだ。
チーム「エステート・トリガー」
エステート・トリガーは、予選で日々の生活に関わるあらゆるものを月額制のサブスクリプション型にするサービスを提案したが、決勝では、予選と全く違う人材サービスを提案し、審査員の度肝を抜いた。
チーム「エステート・トリガー」が新しく提案したサービスは、優秀な学生を採用するために、企業が学生のために住居を無料で提供し、学生はその住居に住みながらインターンシップなどを通じて、企業と関わりを持っていくというもの。
企業は、将来の人材に対して、学生の頃から接点を持つことで関係を築き、最終的には企業に入社してもらうことで、新卒採用のコストを大きく減らせるという部分がポイントだ。
収益ポイントや差別化などの事業プランがしっかりいるという部分が評価された一方で、「なぜ、サブスクリプション型のサービスを辞めてしまったのか?」、「サブスクリプション型から人材ビジネスにシフトした明確な理由がほしい」という指摘もあった。
チーム「ホシカナ」
そして、最後に「家ではなく、街に住む」をコンセプトに街の情報のスコアリング・メディアを提案したのは、チーム「ホシカナ」
チーム「ホシカナ」が提案するスコアリング・メディアは、転勤族であったり、良い子育ての環境を探すのに苦労したチームメンバーの両親の実体験をもとに考えられた。
最近では、検索すれば地域の様々な情報が出てくるようになった。
しかし、まだまだ、自分の住んでいる地域にウーバー・イーツが届くのか、自分の家から徒歩圏内には何があるのかなどと言ったような密の濃い情報というのは、インターネット上に存在しない。
もっと密の濃い情報を見やすくシンプルに提供できないかというのが、ホシカナの提案だ。
これから、新しく住む地域を決めようとする時、家は失敗したらリノベーションなどをすればいいかもしれないが、一度選んでしまった地域はなかなか変えることはできない。
「家ではなく、街に住む」というコンセプトの「街」は、都市と小さな街の両方をイメージさせたり、もしくは、コミュニティといった全く違ったものを連想させたりと、人によって多様な解釈できるところが面白いと審査員から高い評価を受けた。
マンションにしても、本当の資産価値は物理的な建物よりも、その街がどれだけ魅力的かという部分が一番大切になってくる。
審査員からスコアリングだけではなく、その人の属性から、「あなたはこの街が適しています」などといったレコメンデーション機能も加えたらどうかというアドバイスもあった。
結果発表
ハウスコム株式会社代表取締役社長執行役員の田村穂氏、日本大学スポーツ学部の清水千弘教授、跡見学園女子大学 マネジメント学部の丸岡吉人教授、中央大学戦略研究科の榊原清則教授、そして、大東建託株式会社 賃貸未来研究所の宗健所長の5人が3つのアイディアを審査した結果、第3回の学生ビジコンはチーム「ホシカナ」の街のスコアリング・メディアが優勝した。
優勝したチーム「ホシカナ」のアイディアは、ハウスコムのリソースや資本を最大限に使って、第1回目、第2回目のビジコンアイディアと同じように来年から本格的に具現化される。
ハウスコムの田村は、「どのアイディアも素晴らしかった。今回は我々のビジネスに一番近いものを選んだ。
他のアイディアも私たちが事業として採用できるように、今後は私たち自身が成長していかなければならない。」とコメントした。
清水教授は、「これから社会に出て何十年と働いていく中で、やはりお金だけのために働くのではモチベーションは続かない。
そこにお金が生まれるということは、社会の負を解消しているということだから、これを機会に社会の負と謙虚に向き合う機会をたくさん持ってほしい。」とコメントした。
丸岡教授は、「世の中には困っている人がいる。世の中には困っている事がある。これを解決すれば、お金を出してくれる人がいる。
マネタイズすることができる。審査員を含めて、世の中には色々な価値観を持った人がいるので、自分が信じる価値観を大切にして、これからも頑張って下さい。」とコメントした。
榊原教授は、「今日の午前中は大学で博士論文の審査員をしていました。これは、論文がどれくらいアカデミックの発展に貢献したかという一点で評価すればよかったので審査はそれほど難しいものではありません。
しかし、学生のビジコンは評価が難しく苦戦しました。中々、難しいなと思いましたが、これもいい刺激になりました。」とコメントした。
宗所長は、「学生の皆さんに色々と質問をする中で、自分の中でもアイディアが生まれて、非常に良い勉強になりました。
ビジネスコンテストで一番大事なのは熱意なんです。どうしてもやりたいんだという気持ちが強ければ、『仕方ないな』って大人が思うこともあります。
実は、そういったことがきっかけで大きくなっていったビジネスもあります。こういった部分も、これからの参考にしてみて下さい。」とコメントした。
ハウスコム社が進める既存事業とイノベーションを同時に行う「両利き経営」
最近では、企業の「両利き経営」という言葉をよく耳にする。両利き経営とは、右手で既存事業はしっかりと行いつつも、左手では新しいことをどんどん行っていき、まるで、右手と左手との両方が利き腕であるかのように経営を進めていく戦略だ。
アマゾンは、右手では本業のEC事業をしっかりと行い、左手では、アマゾンGO、ドローン配送、AWS、そして、キンドルなどの新しいことをどんどん行っている両利き経営の良い例。
ハウスコム社もまさに両利き経営を行っている。右手では、既存事業である賃貸仲介業をしっかりと行い、左手では、こういったビジコンを通じて学生から出てきたアイディアを持ち前の規模とスピードでどんどん具現化させている。
もし、ITやAIがもの凄いスピードで人間の仕事を奪っているのであれば、企業は、それ以上のスピードで新しい事業を生み出していくことが求められるだろう。
新しい事業を行っていく上で、一番怖いのは既に成功体験が多くある人達の存在なのかもしれない。
成功体験が多くある人達は、過去の自分の経験をもとに、「こんなものがビジネスになるはずがない」と生まれたてのアイディアを排除してしまうこともよくある。
そういった意味では、まだ成功経験が全くない学生にアイディアを出してもらい、それを学生と一緒に事業化していくというやり方は、とても面白い新規事業の進め方だと言える。
ビジネスはアイディアを出すことよりも、それを実行していくプロセスの方が何百倍も大変だ。
これからも、学生とハウスコムのセレンディピティに注目して行きたい。
【会社概要】
会社名:ハウスコム株式会社(東証一部 コード番号:3275)
代表者:代表取締役社長執行役員 田村 穂
所在地:〒108-0075 東京都港区港南2-16-1品川イーストワンタワー9階
資本金:4億2463万円
店舗数:183店舗(直営店182店舗、FC1店舗)2019年11月1日現在
仲介件数:76,323件(2019年3月期)
【リリース発信元】
ハウスコム株式会社 サービス・イノベーション室 相原
TEL:03-6717-6939 FAX:03-6717-6901
URL:
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