不動産評価Webサイト「TAS-MAP」(
http://www.tas-japan.com/ )を運営する株式会社タス(所在地:東京都中央区、代表取締役社長:尾暮 敏範)は、「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版 2020年5月」を発表しました。
「賃貸型応急住宅の供与が賃貸住宅市場に与えた影響」および「2020年3月期の1都3県賃貸住宅指標(空室率TVI(タス空室インデックス)、募集期間、更新確率、中途解約確率、賃料指数)」および「2020年3月期の関西圏・中京圏・福岡県賃貸住宅指標(空室率TVI(タス空室インデックス)、募集期間、更新確率、中途解約確率、賃料指数)」を掲載しています。
詳細PDF:「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版 2020年5月」
https://go.tas-japan.com/l/592651/2020-05-22/2h6jygレポートの概要
(1)賃貸型応急住宅の供与が賃貸住宅市場に与えた影響
2019年11月号で需給ギャップ分析による2020年の賃貸住宅空室率TVIの推移予測を行いました。ここでは、2018年に発覚したスルガ銀行問題以降に金融機関の貸出態度が硬化した影響で首都圏の貸家着工数(供給)が減少傾向にあることに対し、賃貸住宅に居住する世帯数(需要)が増加傾向にあることから、2020年中旬以降の首都圏賃貸住宅の空室率TVIは、東京23区と埼玉県、千葉県が改善、東京市部と神奈川県が横ばいで推移するという予測を行いました。総務省の「住民基本台帳人口移動報告 2020年(令和2年)3月結果」によると首都圏への人口流入は、新型コロナウイルス問題の影響を受けていないことがわかります。一方で、国土交通省の「建築着工統計調査」によると3月の貸家着工数は前年同月比▲3.5%と引き続き減少傾向にあります。
新型コロナウイルス問題の影響で経済悪化が長期化すると貸家着工数が更に減少する可能性が高いと考えられます。これに伴い、首都圏の賃貸住宅の空室率TVIの改善基調も強まると考えられます。
日本の賃貸住宅賃料については空室率との相関が海外ほどは強くありません。これは日本の住宅情報提供会社や管理会社等が所有する賃貸住宅のデータには、経営難等でデッドストックとなってしまった(つまり顧客ではない)物件のデータが含まれていないことが要因と考えられます。このため、住宅情報提供会社等に蓄積されるデータから分析した賃料指数が景気動向に連動して動くのに対し、デッドストックデータを含んだデータから分析された消費者物価指数の民営家賃は下落傾向で推移するという差異が生じています。さて、「景気」とひとくくりで扱われることが多いですが「景気」は様々な要素の合成により形成されており、また要素ごとの動向、推移も異なっています。
そこで、賃貸住宅の賃料推移に影響を与えていると考えられる政府の統計情報を用いて、首都圏の今後の賃料動向について予測を行いました。分析の結果から、首都圏の賃貸住宅賃料は当面上昇基調を維持すると考えられます。
賃貸住宅の収益還元評価で使用される収益還元利回り(CAPレート)は、リスクがほとんどない商品から得られる利回り(一般的には10年物国債の利回り)と不動産等のリスクに応じて上乗せされる利回りの和で算出されます。リスクの大きさは将来の結果に対する不確実性(ボラティリティ)に依存します。したがって、経済が安定しているときにはリスクプレミアムが小さくなりますが、現在のように経済の先行きが不透明な状況ではリスクプレミアムが大きくなります。今後経済悪化が長期化すれば、リスクプレミアムが拡大し価格が下落する可能性が高いと考えられます。
なお、賃貸住宅市場については、国や自治体による家賃補助の動きもあります。この点はリーマンショック時と大きく異なりますので、その影響について引き続き注視する必要があります。
首都圏賃貸住宅推移予測
(2)2020年3月期1都3県賃貸住宅指標
金融機関の融資態度硬化の影響で貸家着工数が減少したことから、特に影響を受けていたと考えられるアパート系空室率TVIは全ての地域で改善傾向にあります。マンション系の賃貸住宅の空室率TVIは高水準の供給が継続している東京23区を除いて改善傾向です。
[東京都]
全域 23区 市部
空室率TVI(ポイント) :13.47 13.55 13.18
募集期間(ヶ月) :2.84 2.82 3.03
更新確率(%) :40.40 41.43 35.35
中途解約確率(%):40.36 38.42 49.45
賃料指数(2004年1Q=100):110.36 112.67 100.07
[神奈川県]
空室率TVI(ポイント) :16.37
募集期間(ヶ月) :3.45
更新確率(%) :35.64
中途解約確率(%):50.42
賃料指数(2004年1Q=100):100.24
[埼玉県]
空室率TVI(ポイント) :15.99
募集期間(ヶ月) :3.36
更新確率(%) :43.78
中途解約確率(%):42.92
賃料指数(2004年1Q=100):102.69
[千葉県]
空室率TVI(ポイント) :14.50
募集期間(ヶ月) :6.36
更新確率(%) :40.44
中途解約確率(%):48.54
賃料指数(2004年1Q=100):103.09
分析:株式会社タス
(3)2020年3月期 関西圏・中京圏・福岡県賃貸住宅指標
リーマンショックが発端となった世界金融危機時には自動車の販売数が激減した影響を受けて、愛知県で大量の派遣社員の雇止めが発生し、空室率TVIが上昇しました。現時点では大きな変化は観察できませんが、自動車業界は新型コロナウイルスの影響を強く受けているため、今後の推移に注意が必要です。
[大阪府]
空室率TVI(ポイント):9.19
募集期間(ヶ月) :5.23
更新確率(%):37.99
中途解約確率(%) :48.27
賃料指数 :106.02
(関西圏:2009年1Q=100)
(中京圏、福岡県:2010年4Q=100)
[京都府]
空室率TVI(ポイント):12.75
募集期間(ヶ月) :5.04
更新確率(%):37.20
中途解約確率(%) :48.85
賃料指数 :106.86
(関西圏:2009年1Q=100)
(中京圏、福岡県:2010年4Q=100)
[兵庫県]
空室率TVI(ポイント):12.48
募集期間(ヶ月) :6.08
更新確率(%):48.71
中途解約確率(%) :38.95
賃料指数 :106.73
(関西圏:2009年1Q=100)
(中京圏、福岡県:2010年4Q=100)
[愛知県]
空室率TVI(ポイント):14.99
募集期間(ヶ月) :6.41
更新確率(%):40.89
中途解約確率(%) :46.00
賃料指数 :105.02
(関西圏:2009年1Q=100)
(中京圏、福岡県:2010年4Q=100)
[静岡県]
空室率TVI(ポイント):23.71
募集期間(ヶ月) :8.81
更新確率(%):46.54
中途解約確率(%) :39.69
賃料指数 :98.90
(関西圏:2009年1Q=100)
(中京圏、福岡県:2010年4Q=100)
[福岡県]
空室率TVI(ポイント):10.25
募集期間(ヶ月) :5.14
更新確率(%):49.39
中途解約確率(%) :36.03
賃料指数 :110.90
(関西圏:2009年1Q=100)
(中京圏、福岡県:2010年4Q=100)
分析:株式会社タス
詳細はPDFファイルをご参照ください。
詳細PDF:「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版 2020年5月」
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https://corporate.tas-japan.com/news/news_cate/report/■株式会社タスについて
株式会社タスはトヨタ自動車株式会社(T)、豊田通商株式会社(T)、朝日航洋株式会社(A)、株式会社三友システムアプレイザル(S)が出資するトヨタのグループ企業です。システム評価のパイオニアとして不動産に関わる情報を収集・分析・ディスクローズすることにより、専門知識を誰でも簡単に視える化することを目指しています。不動産評価サービスTAS-MAPは、担保評価や顧客へのプレゼンテーション資料作成ツールとして多くの金融機関や不動産会社の時短に貢献しています。
会社名 : 株式会社タス(英語名 TAS Corp.)
所在地 : 東京都中央区八丁堀3丁目22番13号 PMO八丁堀4F
設立年月日: 2000年8月28日
資本金 : 1億8千万円
出資 : トヨタ自動車株式会社
朝日航洋株式会社
株式会社三友システムアプレイザル
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