日本の伝統文化を絶やさないために、若い世代に木造住宅の魅力を伝えたい――地方の工務店が立ち上がり、設計力を競うコンテストが開催される。
建築を学ぶ現役学生が参加する「木の家設計グランプリ」が、2020年 9月26日(土)オンラインにて開催される。
7回目となる今年は、全国から436組の応募が集まった。
審査にあたるのは、日本の建築界をリードする7名の建築家。学生と建築家とのトークバトルが繰り広げられる。
建築を志す学生と、日本を代表する建築家との熱いバトル
「木の家設計グランプリ」は全国の学生を対象に開催される『木造住宅』限定の設計コンテスト。2014年に始まり、今年は7回目を迎える。第1回目のエントリーは77組だったが、今年は全国から436組の応募があり、年々注目度は高まっている。
例年は京都芸術大学(旧名称:京都造形芸術大学)で開催されていた同大会。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一時は開催が危ぶまれた。
大学ではオンラインの講義も多く、学校に出向き課題に取り組むことも少なくなってしまった建築学生にとって、貴重な学びの機会と考え、初のオンラインでの開催が決定した。
時流にそったテーマで、学生が設計
その年の審査員長がテーマを決め、学生がそのテーマに沿った模型や設計プランを作成する。今年はHPにて、プレゼンテーションシートと模型写真、プレゼンテーション動画を掲載。そこから上位10組が選出。その後の公開最終プレゼンテーションで、金賞、銀賞、銅賞、U20(20才以下の学生)賞、審査員長特別賞、ほか各賞が決定する。
今年の課題テーマは「自然を身方にする家」。今年の審査委員長は、建築家 松岡 拓公雄(まつおか たくお)氏が務める。
松岡氏は、兵庫県出身。東京芸術大学美術学部、同大学院を卒業後、丹下健三都市建築研究所を経て、アーキテクトファイブを共同設立、2006年アーキテクトシップを設立。1999年から2016年滋賀県立大学環境科学部教授を経て、現在は亜細亜大学都市創造学部教授。日本建築学会賞業績賞、土木学会最優秀デザイン賞、BCS賞、グッドデザイン大賞など多数受賞している。
「加速するデジタル化、AI化。住宅においても、自動化された空調や照明など新たな要素が加わり、さらに技術は進んで行きます。これから先、住宅はどのような方向に向かえばよいのでしょうか。いまこそ必要なのは、人間の動き、スピード、太陽や風や空気、そして四季などのアナログ的なものなのかもしれません。この多様な世界で何を大事にして、住宅の身方にするのか、想像を広げて挑戦してほしい。」
審査員は他にも、竹原義二氏(無有建築工房 )、横内敏人氏(横内敏人建築設計事務所)、伊礼智氏(伊礼智設計室)、堀部安嗣氏(堀部安嗣建築設計事務所)、荻野寿也氏(荻野寿也景観設計)堀 啓二氏(株式会社 山本堀アーキテクツ)と建築業界では名の知れた顔ぶれ。学生に木造住宅の魅力を知ってもらい、日本の住環境をより良くしたいという思いで集まった。
審査の様子をオープンにした、臨場感あふれるコンテスト
大会当日、12時に上位20名を発表。さらに、その中から選出された上位10名の学生は、最終プレゼンテーションへと進む。
一組につき持ち時間約10分。その際の審査員と学生とのやりとりが毎年見ものだ。学生と審査員が互いにヒートアップする場面もあり、会場を沸かせる。今年も、オンライン上(Youtube)で審査員と学生のやりとりをリアルタイムで観覧することができる。
通常のコンテストでは、審査は非公開で行われるが、当コンペは目の前で審査が進むのが大きな特徴。自分の作品へ票が入ったり抜かれたりするのを、学生は固唾をのんで見守る。
どのような理由でどの作品が選ばれたのか、ダイレクトに見聞きできることが、参加した学生にとっては大きなメリットとも言えるだろう。
昨年参加した学生からは、「一次審査から模型を見てもらえるコンペが少ない中、このコンペは、模型や紙面を含む総合的なプレゼンテーション能力が試される、貴重な機会だった。」という声や、
「審査員の方々のアドバイスから視野が広がり、木造の奥深さ、面白さを感じた。」という声が寄せられている。
審査員とコミュニケーションを取り、作品に対してアドバイスをもらえることが、このコンペの醍醐味だ。
主催は地方の工務店。元大手ハウスメーカーの大工社長が一念発起
この大会を主催するのは、滋賀県の「株式会社 木の家専門店 谷口工務店」。人口12,000人ほどの町で、木造注文住宅の設計施工を行う。近年では関東や九州地方からも問い合わせが入るという注目の工務店。代表を務める谷口弘和(たにぐち ひろかず)氏は、大手ハウスメーカーの大工を辞めて22才で起業した。現在48才。
「当社は16年前から新卒採用を続けてきましたが、学生は、量産型のハウスメーカーや大手ゼネコンへの就職を希望する人が多い。また、学生が木造住宅について学ぶ機会が殆どない現実を知りました。日本は木造住宅が半数以上を占めているのにもかかわらずです」を危機感を募らせる。
「住宅は、その土地の気候風土に応じてつくるのが一番理にかなっている。それを実現できるのは、間違いなく地域工務店が優れています。日本の木造住宅を絶やさず未来へ引き継ぐため、木造住宅について理解を広め、若い人材が地域で活躍できる社会をつくりたい思いからこの大会を始めました」と語る。
谷口弘和氏の想い共感した工務店や建築企業30社が協賛を申し出た。
現在就職活動においては「早期化」「インターン」が主流になりつつある。大手志向で人員獲得に頭を悩ませる地方企業も多い。学生も多様な就職活動の場面に戸惑いの声も上がっている。学生がこうした機会を通じて企業と接点を持つことで、将来の選択肢に幅ができることはもちろん、地方で働く可能性を知る良い機会にもなるだろう。
「昔、大工は町を守る陰の立役者でした。そして家をつくる仕事は、住む人の命を守る仕事だと言っていい。学生を育て、日本の誇るべき木造建築を守っていくきっかけにしたい」と谷口氏。
9月26日(土)12時より配信スタート。参加者以外も自由に観覧することが可能。
HP上でプレゼンテーションシート、模型写真、プレゼンテーション動画を公開しており、学生の熱のこもった作品の数々に票を投じることができる。
今年はどんな熱い戦いが繰り広げられるのか、注目だ。
【木の家設計グランプリHP】
http://www.dentoumirai.jp/【当日配信Youtubeチャンネル】
https://www.youtube.com/channel/UCo-g4Jwz5JRq6DzubLdzNkg主催者
【社名】株式会社 木の家専門店 谷口工務店
【所在地】滋賀県蒲生郡竜王町山之上3409
【連絡先】0748-43-1128
【HP】
https://taniguchi-koumuten.jp/【MAIL】ksg@taniguchi-koumuten.jp
※本件に関するお問合せ(担当:イヌタ・シミズ)
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