住宅や建物の修繕・改修・維持・管理を手掛ける株式会社キャンディル(代表取締役社長:林晃生、本社:東京都新宿区、以下 キャンディル)は、大和ハウス工業株式会社(代表取締役社長:芳井敬一、本社:大阪府大阪市、以下、大和ハウス工業)、奈良県立医科大学微生物感染症学講座(本部:奈良県橿原市、教授:矢野寿一、准教授:中野竜一)及びMBTコンソーシアム(理事長:細井裕司 ※1)と共同で、実際に施工現場で使用する屋内向け光触媒コーティング剤を用いて、SARS-CoV-2の不活化効果を検証し、学問的に以下の結果を確認したことを2020年10月29日にご報告いたします。
尚、本試験で使用した光触媒(エアリフレッシュ:アパタイト被覆二酸化チタン)は、SARS-CoV-2のウイルス株に接触させることにより不活化することが判明しましたが、本試験では、空間に浮遊するウイルスへの効果、人体への影響については検証を行っておりませんので、誤解のなきようお願い致します。
※1 奈良県立医科大学とともに医学知識を全ての産業に導入するMBT(Medicine-Based Town)活動を行う一般社団法人です。
※2 500 lxは、一般的には蛍光灯照明事務所レベルの照度です。(環境要因によって変動しますので目安としてご理解ください)
■検証の経緯
キャンディルグループは、世界的なパンデミックを引き起こしたコロナ禍の影響に建築サービスの側面から貢献することを志してさまざまな取り組みを進めています。その取り組みの一つとして、住環境における安心・安全を提供すべく「ニューノーマル」な暮らしの必需品質に相応しい「光触媒コーティングサービス」を追求しております。また、大和ハウス工業は、2020年11月より自社が施工する新築戸建住宅にキャンディルグループの光触媒コーティングを提案するため、キャンディルと大和ハウス工業は光触媒コーティングの施工品質向上に共同で取り組んでまいりました。このたび、大和ハウス社総合技術研究所および産学連携で多くの連携実績があり、SARS-CoV-2を取り扱う「バイオセーフティレベル(BSL)3施設(※3)」を有する国内有数の感染症研究機関である奈良県立医科大学のご協力をいただき、キャンディル・大和ハウス工業・奈良県立医科大学・MBTコンソーシアムの4者で、キャンディルと大和ハウス工業が使用する光触媒コーティング材のSARS-CoV-2のウイルス株に対する有効性について共同で検証しました。
※3 細菌・ウイルスなどの微生物・病原体等を取り扱う実験室・施設の格付け。
■試験概要
試験サンプル:光触媒(エアリフレッシュ)加工したガラス板(50mm x 50mm)を光照射したもの(※4)/暗所保管したもの(※5)
※4 試験直前までブラックライトに 24 時間照射してから使用した
※5 試験開始 24 時間前までにブラックライトに 24 時間照射し、試験開始まで暗所に保管した
試験ウイルス:SARS-CoV-2;2019-nCoV JPN/TY/WK-521株
試験方法:サンプルにSARS-CoV-2を接種し、静置。PBS液を用いてVeroE6/TMPRSS2 細胞に感染させ、ウイルス感染価(※6) をプラーク法にて測定。減少率(不活化効果)=(1-1/10対数減少値)×100%にて算出。
試験機関:奈良県立医科大学微生物感染症講座
※6 細胞感染性を持つウイルス粒子の数のこと。
■試験結果
500 lxの可視光を照射したところ、光照射保管および暗所保管したエアリフレッシュ加工とも、時間経過とともに感染価が減少し、1時間で90%以上、4時間で99%以上の減少率を示すした。さらに6時間作用させると、99.806%の感染価の減少を示した。
暗所条件 0 lx においても、光照射保管および暗所保管したエアリフレッシュ加工とも、時間経過とともに感染価が減少し、1時間で90%以上、2時間で99%以上の減少率を示した。6時間の作用では、光照射保管のエアリフレッシュ加工で 99.559%、暗所保管のエアリフレッシュ加工で99.438%の減少率を示した。
光触媒の持つ抗菌・抗ウイルス効果によってSARS-CoV-2が不活化されたことが確認された。
エアリフレッシュ加工(光照射保管) 500 lx におけるウイルスの不活化効果
→PDF版プレスリリースをご参照ください
エアリフレッシュ加工(暗所保管) 500 lx におけるウイルスの不活化効果
→PDF版プレスリリースをご参照ください
エアリフレッシュ加工(光照射保管) 0 lx におけるウイルスの不活化効果
→PDF版プレスリリースをご参照ください
エアリフレッシュ加工(暗所保管) 0 lx におけるウイルスの不活化効果
→PDF版プレスリリースをご参照ください
奈良県立医科大学による検証結果URL:
http://www.naramed-u.ac.jp/university/kenkyu-sangakukan/oshirase/mbtsars-cov-2.html■(参考情報) 可視光応答型光触媒(エアリフレッシュ:アパタイト被覆二酸化チタン)で活用している特許技術について
アパタイト…細菌や有機化合物を吸着
二酸化チタン…アパタイトに吸着した細菌や有機化合物を光の力を利用して除去
【特許番号:3975270】
2009年 (独)科学技術振興機構と(独)産業技術総合研究所により共同開発され、実用化に成功したものです。二酸化チタンの表面にアパタイトをマスクメロンのようにコーティングする(=被覆する)ことで、アパタイトの特性である吸着力が大気中に漂っている細菌や有機化合物などを吸着するため、より効率よく細菌や有機化合物を除去できるようになります。
今回得られた知見は、キャンディルグループが推進するアフターコロナを見据えた「ニューノーマル」な暮らしの必需品質に相応しい、住環境に最適な光触媒コーティング施工技術の新たなスキームの構築に参考としてまいります。
特に、光触媒コーティング剤ではありますが0 lxでの暗所保管において6時間後の減少率が99.438%と、500 lxでの光照射保管での6時間経過後の減少率99.806%と比較して0.368%の差異しか認められず、暗所でもその効果が期待できることが確認されました。今後も大和ハウス工業、奈良県立医科大学、MBTコンソーシアムとの検証を継続して行うことで、さらなる光触媒コーティング施工技術の向上に取り組みます。
<キャンディルグループについて>
キャンディルグループは、東証一部上場企業である株式会社キャンディルを中心としたグループで、1,000名超の自社技術者、600社超の協力業者からなる全国規模の建築サービスネットワークを有し、“全ての建物にキャンディル”を合言葉に、戸建て住宅、集合住宅、商業施設、専門チェーン、ホテルなど様々な分野で、修繕・改修・維持・管理にフォーカスした独自の建築サービスを提供しています。全国57拠点。
URL:
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