-日本は依然としてアジアの不動産市場における有望な投資先-
2020年12月 16日 東京発 - Emerging Trends in Real Estate(R)アジア太平洋2021年版によると、アジア太平洋地域各国政府は新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 感染拡大の封じ込めに成功し地域不動産市場への影響を抑えている一方、来年には市場の修正が起こるのではないかとの懸念が高まっています。 今年15版を重ねるEmerging Trends in Real Estate(R)は、不動産・土地利用の専門家からなる世界で最も歴史が長く最大規模の分野横断的ネットワークであるアーバンランドインスティテュート (ULI) とPwCによる共同報告書です。
同報告書はひずみが生じる可能性のある市場として、以下の3つを挙げています。1つ目は中国で、流動性引き締め策により、小規模デベロッパーは銀行融資を受けられなくなっています。2つ目はインドで、国内のノンバンク金融機関が破綻し、外国のプライベートエクイティファンドの機会が浮上しています。 最後はオーストラリアで、経済への影響がアジア太平洋地域の他の主要国より深刻で、また市場の透明性が高いため短期的に「バイ」の見通しが高まると見られます。
東京はシンガポール、シドニーとともに、アジア太平洋地域の投資と開発の見通しにおいて上位3市場に引き続きランクインしています。近い将来、日本は外国人投資家を引き続き惹きつけると予想されています。キャップレートは極端に低いものの、需要は依然として旺盛であることから、物流施設とマルチファミリー住宅は日本の不動産市場を牽引すると考えられます。他の市場と同様に、日本でもいくらかディストレスの見込みが浮上すると考えられます。窮地に立っているものの多くの資産を抱える企業とのセール・アンド・リースバック取引は一つの可能性です。
森ビル株式会社取締役副社長執行役員で、ULIジャパン カウンシル会長を務める森浩生氏は次のように述べています。「日本の不動産市場は安全な避難所としての地位を確立していることから、パンデミックの間においても比較的に安定していました。アジアのゲートウェイ都市との比較で見ると、日本の持続的低金利と堅調な経済の組み合わせが、最も魅力的で耐久性のある機会を投資家に提供していると思います。」
PwC税理士法人パートナーの高木宏氏は次のように述べています。「今年、日本の取引高は若干減少したものの、アジアでは依然として韓国、中国に続き第三位につけています。コロナ禍により、日本の不動産市場の魅力は際立っています。資金が豊富なテナント、コア資産の流動性を備え、地政学的リスクに影響されにくく、アジア太平洋地域における投資先の定番となっています。」
アジア太平洋地域の全体的な見通しとして 、 ULI アジア太平洋のプレジデント、David Faulkner氏は次のように述べています。「アジア太平洋地域は新型コロナウイルスのもたらす困難に対し、特にヨーロッパや北米の市場と比べて驚くべきレジリエンスを見せているものの、ある程度の市場の修正が起こると見込まれています。新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、社会は大きな変化を余儀なくされていると一般的に言われています。これまでのところ不動産部門では、新型コロナウイルス感染症発生以前からすでに起こりつつあったトレンドが加速しています。ESGのテーマがその一例であり、デベロッパーは建物をその耐用年数にわたって様々な用途に対応できるよう、汎用性のある構造に設計しようとしています。」
同報告書はパンデミックの中にあっても最も堅調な成長を遂げている物流施設を特に取り上げています。これは、特にeコマースの堅調な成長など、多くの循環的および構造的な要因に支えられて需要が続いていることによります。一方、アジア太平洋地域の住宅部門は新型コロナウイルスの影響に対し、景気後退の危機にもかかわらず予想を上回るレジリエンスを見せています。不確実性の高い環境において、好調な消費者心理に加え、住宅ローンや家賃の支払いにおいて確かな実績があることから、住宅部門はディフェンシブな資産クラスとなっており、現在同地域の投資家のターゲットになっています。
同報告書で取り上げている他のトレンドは次のとおりです。
アジアの企業は、セール・アンド・リースバック取引により、保有する不動産資産を売却しています。
アジア太平洋地域でグリーン債に対する需要増加を示す明るい兆しが見られています。
アジア太平洋地域の回答者は、在宅勤務のトレンドが長期的に需要を後押しするとは捉えていません。
日本でもリモートワークが急速に根付き、多くの企業が、それを常態化しようと検討しています。
渡航禁止の影響は、オーストラリアのように外国人投資家の比率が高い市場で大きく現れています。
不動産価格は、買い手と売り手の間で膠着状態に陥っています。
シェアオフィスの流行は間もなく過去のものとなると考えられます。
Emerging Trendsアジア太平洋版は、不動産専門家391名へのアンケート、および投資家、デベロッパー、不動産会社、金融機関、仲介業者、コンサルタントなど134名へのインタビューに基づいています。
本報告書の完全版は asia.uli.org/emerging-trendsからダウンロードできます。
-以上-
アーバンランド・インスティテュート(ULI)について
アーバンランド・インスティテュート(ULI)は、会員によって支えられる非営利の教育研究機関です。責任ある土地利用と世界中で繁栄するコミュニティの創出・維持においてリーダーシップを発揮することを使命としています。1936年に設立され、土地利用と開発のあらゆる分野を代表する会員を全世界で45,000名以上擁しています。詳細は、ウェブサイト(uli.org)をご覧いただくか、 Twitter、Facebook、LinkedIn、Instagramをフォローしてください。 ULIは、アジア太平洋地域に2,500名以上の会員を擁しています。ULIアジア太平洋地域の詳細については、asia.uli.orgをご覧いただくか、 Twitter、 Facebook、LinkedIn、Instagramをフォローしてください。
PwCについて
PwCは、社会における信頼を構築し、重要な課題を解決することを目的としています。 PwCは、世界155か国に及ぶグローバルネットワークに284,000名以上のスタッフを有し、質の高いアシュアランス、アドバイザリー、税務サービスを提供しています。 詳しくはwww.pwc.comをご覧ください。皆様のご意見・ご要望をお待ちしています。PwCとは、PwCネットワーク、および(または)PwCのメンバーファームを指しています。各メンバーファームは、別組織となっています。詳細はwww.pwc.com/structureをご覧ください。(C) 2017–2020 PwC.権利はすべて PwC に帰属します。
企業プレスリリース詳細へPR TIMESトップへ