軽井沢の山を使った暮らしの実験場「TŌGE」がローンチ

一般社団法人芸術文化離山

2021年6月9日 10時49分

プロジェクト第一弾に山本修路がアーティスト・イン・レジデンス

一般社団法人芸術文化離山(代表:上野有里紗)は今夏、長野県軽井沢の中心に位置する「離山」の森の中にて暮らしの実験場「TŌGE (トウゲ)」を始動する。「人・自然・人工物の新たな新陳代謝」をコンセプトに、そこに来訪する人たちが日々の暮らしを再考するきっかけを作り出すアート・プロジェクトを企画・実行してゆく。




公式ウェブサイト:https://toge.art

第一弾プロジェクトとして、大自然と人間との関わりをテーマに、旅や酒造り、小屋制作、森に入る活動などと並行して、作品制作を行っているアーティスト山本修路が滞在制作を行う。成果物は、この夏、東京都内にて予定されている個展にて展示予定。

本年はその他にも、山の恵みを使ったプロダクトのローンチや、離山の木材を使った家具制作ワークショップなどを計画している。


TŌGEについて|



(C) Leon Faust

人と自然の境界がうすれ、「文明的自然」が地表を覆うようになって私たちは自然を失念していた。それが昨今の激甚災 害らによって私達は今いちど自然との関係を問いただされている。

そうしたなかで「TŌGE」は、東京から程ない移動距離にあり、人工林と原野林が混在する軽井沢の森のなかで、「人・ 自然・人工物」がおり混ざった暮らしを探求する実験場である。

また、暮らしを「食」「育」「住」に分解し、フードプロダクトの開発(食)や、自然教育プログラム(育)アーティス トインレジデンス(住)など、様々なプロジェクトを企画・実行する。


地理・背景|



(C) Jukan Tateisi

「離山」は長野県軽井沢町に位置する山で、その形がなだらかであることから「テーブルマウンテン」とも呼ばれ、親し まれている。江戸時代には「沓掛」の名称で宿場町として栄え、近代化以降は避暑地のイメージが強い軽井沢だが、近年 は観光客や移住者の増加などにより、町として新たなフェーズを迎えている。

「TŌGE」のベースとなる活動は、この「離山」における戦後に人工的に作られたカラマツ林を切り開き、土地の野草や 他の植生を再生していく計画より始まった。 間伐を長年にわたって続けると、光の入りかたが変わり、見たことのない花が出現したり、虫や鳥が増えたり多様化した りと、生態系の変化を目の当たりにすることができる。 日本は森林が豊かな土地柄と言われている。

しかし、植林などの影響で人工的な側面が強い日本の森林は、他の自然現象 と同様に、決してスタティックな存在ではなく、独自のサイクルで新陳代謝をしている。 この体験に着想を得て、「TŌGE」ではそのサイクルを学びながら、様々な文化・創作活動を通じて、日常生活への問い を投げかける仕掛けとしていく。


「TŌGE」由来|



(C) Jukan Tateisi

軽井沢の離山の西の麓は昔、「沓掛」という名の宿場町であった。軽井沢へのアクセスポイントとして有名な碓氷峠は、 江戸時代に中山道における要所であった。 その昔、旅人などが道中の安全を祈願して、峠を登る前に草鞋や馬沓の類を履き替え、古い沓(くつ)を山の神様に備え ることが行われていたことから、「沓掛」と呼ばれるようになった。

これをもとに、「人生の転機や社会課題、日常課題など、日々押しよせてくる『峠』を越える準備や、学びを得られる場 」にする想いを込めた。


プロジェクトメンバー|




上野有里紗(うえの・ありさ) 建築家

都市文化を批評的にとらえなおしつつ、建築的介入を創り出す活動をしている建築設計事務所ULTRA STUDIO 共同主宰 。Goldsmiths, University of London にて視覚文化論学⾸席卒業後、2010年から12年にかけてロンドンのオルタナティ ブスペースに展覧会企画に携わる。AA School、Royal College of Art にて建築修⼠号取得。ロンドン・東京の設計事務 所勤務を経て、現職。




立石従寛(たていし・じゅかん)美術家・音楽家・キュレーター

仮想世界に流れる人間像の観察をテーマにインスタレーション作品を展開する。また、キュレートリアル・スペース「The 5th Floor」の立ち上げ・運営やHB.Collectiveとしてのキュレーション業、音楽・音響制作業なども作品制作の一環と して捉え幅広く活動する。2017年に渡英、Royal College of Art美術修⼠号修了(論文⾸席)。「The 5th Floor」代表理事。


プロジェクト第一弾について|

第一弾プロジェクトとして、大自然と人間との関わりをテーマに、旅や酒造り、小屋制作、森に入る活動などと並行して 、作品制作を行っているアーティスト山本修路が滞在制作を行う。

森に入ること、地形・植生・歴史・人々を知る旅、造酒、メープルシロップ作り、お茶作りなどは、大自然と人間との関 わりを角度や距離を変えて体験し見るための取り組みである。

山本は、幼少期に登った離山の記憶を頼りに、山中を散策し、植生調査と採取、油絵を基軸にした制作を行う。

成果物は、この夏、HARUKAITO by islandにて開催予定の個展にて「樹木学|A natural history around trees」展示予定 。 本レジデンス後も、不定期にこの場を訪れ、離山の植生経過を観察し続ける。


ステートメント|

我々人間はあらゆる自然と関わり合い、積み重ねられた歴史の上にいる。

目の前の物語や、過去へ置き去りになった物語などから、ひとつでも紐解けばどこまでも続く物語があり、読み手に委ね られた物語は永遠に尽きることはない。

人間にとって、自然を知るということは不変的な欲であり、歴史が物語っている。

それらの物語への優しい入り口となるような作品を作っている。

個展概要|

タイトル:樹木学 | A natural history around them

作家名: 山本修路 | Shuji Yamamoto

会場: HARUKAITO by island 会期: 2021年7月16日(金) - 2021年8月9日(月)

開廊時間:Thu-Sun 13:00-19:00

住所: 東京都渋谷区神宮前6-12-9 BLOCK HOUSE 2F

Tel: 03-6874-3273

作家について|




山本修路(やまもと・しゅうじ)
1979年東京都生まれ。2005年多摩美術大学卒業。大自然と人間との関わりをテーマに、旅や酒造り、小屋制作、森に入 る活動などと並行して、作品制作を行っている。

主な展覧会|

2005年 「松景」 レントゲンヴェルケ(東京)
2008年 「松景 其ノ貮」 レントゲンヴェルケ (東京)
2013年 「SURVIVE」 十和田奥入瀬芸術祭 (⻘森)
2014年 「そらいろユートピア」十和田市現代美術館 (⻘森)
2018年 「博物学」 BLOCH HOUSE (東京)
2019年 「生きられた庭」京都市植物園 (京都)
2020年 「心の旅路」 The 5th Floor (東京)

パブリックコレクション|

十和田市現代美術館



アオモリトドマツ 2021



小屋 2018(静岡県富⼠市の茶畑)


TŌGEに関するお問合せ|

ウェブサイト:https://toge.art/

インスタグラム:https://www.instagram.com/toge.projects

メール:info@toge.art

担当者 :上野有里紗(うえの・ありさ)

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