金沢駅前の早期開発に向け、受賞作品はJCI金沢が金沢市や関係各所へ提案予定
この度、公益社団法人金沢青年会議所(以後、JCI金沢)は、金沢駅から武蔵ヶ辻交差点までの都心軸に面する敷地の都市空間アイデアを募集する「十重二十重のまち金沢 新都心軸デザインコンペティション 2022」の受賞者を決定いたしました。また、本コンペティションの結果を検証し、講評会参加者へのアンケートや今後金沢が取り組むべきまちづくりのあり方をまとめた答申書を公開いたしました。
答申書公開ページ:
https://kanazawa-jc.org/2022/10/27/toushinsyo/「十重二十重のまち金沢 新都心軸デザインコンペティション 2022」は、石川県金沢市のまちに蓄積されてきた歴史的な価値と、市民生活との調和を継承しつつ、新たな文化・新たな経済が集う未来の金沢に相応しい魅力的な空間を創造することを目指したものです。
今注目の建築家である石上 純也氏をはじめ、宮下 智裕氏、三浦 崇宏氏、上田 利恵氏、田辺 佑一氏ら審査員による厳正なる審査の結果、以下の通り、最優秀賞1作品、優秀賞1作品、理事長賞1作品が選出されました。
選ばれた作品は、更地状態が続いている金沢駅前の早期開発の参考となるように、JCI金沢が金沢市をはじめ、関係企業・団体等へアイデアを提案していきます。
受賞作品
最優秀賞
「ヒロミチ」 :松野 祐太
作品概要:
歴史的な価値の継承と、人・モノ・情報が集まる魅力的な都市軸の創出を創造する広場的街路・ヒロミチを提案。街の個性を活かし、道路のあり方を変えることで、沿道の建物と相乗効果を発揮して魅力的な都市軸をつくることができると考えた。金沢独自の都市構造である街路の一部が広くなった「広見」を都市スケールに拡大する「ヒロミ」が連続するヒロミチは、金沢の多様な活動の受け皿となる。
審査員講評:
こういう場所ができたら面⽩いのではと思った。都市構成が⾮常に明解に出ていて、着眼点が面⽩い。ただ、具体的な使い方、濃淡も含めたプログラムの在り方を示せると更に良い。一方で、道が広がっていく、次の建物が見えていく構成というのは、歩いていて楽しい。何かすごい構築をするわけでもないけど、まちを新しく見せていくというところが面⽩い。<宮下 智裕氏>
受賞者コメント:
都市の歴史的な構造とその後のデザインとがダイレクトに結び付くことが実は意外と無いなと思っており、金沢のこのエリアはそういうことがダイレクトにできると思い提案をしました。最高順位を受賞することができて純粋に嬉しいです。
優秀賞
「都市の余⽩に人を停める」 :土居 将洋、山口 丈太朗、小川 隆成
作品概要:
1996年、金沢駅と武蔵ヶ辻交差点を結ぶ直通道路が完成し金沢の新たな都市軸となった。しかし歩けるまちづくりを目指す金沢にとって、この都市軸は車のための動線で止まり、歩行者のための空間にはなっていない。車の保有台数が減少傾向にある中で、将来求められる歩行者空間を都市の余白に挿入することで、この変化をポジティブに捉えるために、駐車場を活用し未来の金沢に新たな流れをもたらす。
審査員講評:
新しい交通と都市の中での動き方という着眼点は面⽩い。一方で、金沢のまちとどういう繋がりを持った計画なのかという提案が弱い。このスケール感で、この大きな商業施設をまちなかに作ることは果たしてどうか、再考してみていただいたら何か面⽩いことになるのでは。スケール感、中に入るプログラム、元々あるものを残すのか、そのあたりを総合的に判断できたらもう少し説得力があったようにも感じる。<石上 純也氏>
受賞者コメント:
建築学科の授業では、まち全体のような大きなスケールの中で建築を考えるということがなく、本コンペティションは金沢の歴史から未来まで大きな視点で考える必要があるため、私たちにとって挑戦という意味で応募しました。受賞そのものも嬉しいですが、このコンペティションに、そして金沢に精一杯向き合い、一つの結果が出たことは、自分たちの中で価値があると感じています。
理事長賞
「Wood Cycle Point ‒サーキュラーエコノミー建築で金沢を新しい木材都市へ‒」 :大塩 輝、掛田 巧、吉田 絵理奈
作品概要:
石川県に多く存在する森林資源を活用した研究やサーキュラーエコノミー建築の実践等を行うことで、金沢を木材都市とし、木材を通じた新しい賑わいを創出する。本提案では、能登半島などの間伐材を通じた大きなサーキュラーエコノミーの輪と、金沢周辺の民家などを巻き込んだ小さなサーキュラーエコノミーの輪を描き、それらの輪の中心となる建築を設計している。
審査員講評:
プログラムや、これからの建築や存在意義という意味ではこういうやり方もあるかと思うが、一方で、作られた建築が今後100年、200年に残っていったときに、プログラムが変わっても残せる建築でないといけない。その中で、木造建築の魅力を新しい形で伝えるような提案があれば、重層的に歴史に残っても良いという価値観を審査員に知らしめることができたのでは。スタート地点としてはすごく面⽩いのでそのあたりをブラッシュアップできたら良い。<石上 純也氏>
受賞者コメント:
古くからのものと新たなものが在りつつ、どちらの魅力も損なうことなく共存している金沢のまちに魅力を感じ、本コンペティションに応募しました。理事長賞に選出していただきありがとうございます。ただ新しいものを入れるだけではなく、昔からのものを継承していけるような都市や建築をこれからも考えていきたいです。
講評会・本審査会の様子
今回のコンペティションに集まった作品は、実行委員会による一次審査を経て、6作品が最終審査に進みました。その後、1000人以上の方に投票いただいた一般投票(金沢駅前エリア投票・WEB投票)を経て、金沢市アートホールで行われ、最終審査・講評会にて、応募者よりプレゼンテーションが行われました。個性豊かな作品が並ぶ中、最終的にはより詳しい説明と魅力的なプレゼンテーションが行われた3作品が受賞し、審査員一人ひとりから講評をいただきました。
講評会の詳細
https://kanazawa-jc.org/2022/10/06/toehatae_selectionresult/コンペティションの詳細
金沢のまちに高さ制限はどこまで必要か?観光需要回復に向けて新しい土地活用アイデアを募集。
「十重二十重のまち金沢 新都心軸デザインコンペティション 2022」開催
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000102803.html審査員総評
石上 純也氏 Junya Ishigami
株式会社石上純也建築設計事務所 代表
挑戦的なコンペだった。現代の都市開発の問題としてあるように、これからの経済活動とこれまでの歴史性をどうやって都市の中で共存させるかという意味で、すごく良い題材だったのではないだろうか。一方で、今後の都市の在り方は簡単には考えられない。特に金沢の地域性とどう結びつけるかというのはレベルの高い課題だったし、難しかったのではないかと思う。僕が今回のコンペに期待したことは、これまでの都市開発は、これまでの都市スケールを大きく超えてされていたことがわりと多く、京都駅などもそうだが、今までの歴史的な建築スケールと近代建築のスケールは、成り立ちや大きさが違うことから、今後どう結びつけていくのかが課題だと思っている。なので、このコンペは良い題材だったが、そこに対しての提案がわりと少なかったと感じた。現状の道路際の高層建築に対して、今後どういうボリューム感で建築が建っていくのが良いかなどの提案がもう少し見られたらより面⽩くなったのではと思う。
宮下 智裕氏 Tomohiro Miyashita
博士(工学)、金沢工業大学建築学部建築学科 教授
全体を通した印象として、都市的なアイディア、都市のこれからのアイディアとしては魅力的だった一方で、金沢のコンテキスト(背景・状況)への落とし込みに、もうひとつあると、全ての案が説得力を持つだろうという印象を持った。
三浦 崇宏氏 Takahiro Miura
The Breakthrough Company GO 代表取締役
PR/CreativeDirector
私は、マーケティング、ビジネスの立ち位置から、上位3作品とそうでない3作品の大きい違いについてコメントをすると、未来に対するスタンスがあるかどうか。上位3つは仮説がある。仮説というのは単なる予測ではなく意思。どういう未来を作ろうかという意思があるところが差になっている。受賞しなかった3作品についても皆さんよく考えられていると思うが、ある種、どういう未来を作りたいのか、どういう幸福をデザインしたいとか、未来はどういうまちであるべきか、そういう意思に基づいた仮説が無かった、予測の元に作られているという印象があった。
上田 利恵氏 Rie Ueda
株式会社東京リエ・コーポレーション代表取締役社長
いしかわ観光特使/小唄の名取「朝利恵名取」
参加された方の作品は、どれも金沢のまちのことを真剣に考えたものばかりでした。まちの活力が私たちのビジネスの分野にも関連してくるので非常に聞いていて嬉しくなりました。若い人がどんどん活躍できる地域になることを願っていますし、私も皆さんを支えられるように頑張っていきたいと思います。
公益社団法人金沢青年会議所/JCI金沢について
JCI金沢は、国際青年会議所(JCI)の一員として、「個人の修練、社会への奉仕、世界との友情」を活動の軸として、明るい豊かな社会の実現を目指し、金沢のまちとそこで暮らす人々の未来のために活動する公益社団法人であり、本年、創立70周年を迎えます。2022年6月現在約180名のメンバーが在籍しており、男女を問わず、若手経営者をはじめとした多様な業種の青年が在籍しています。2015年にはJCI世界会議金沢大会を開催。その際、JCIが国連の持続可能な開発目標(UN SDGs)への協働を約束する「金沢宣言」が採択されました。以降、JCI金沢会議をはじめ、世界に先駆けて、SDGsに関する活動を行っています。
JCI金沢では、多様な仲間と思いをひとつにし地域の発展に繋がる活動を行うことで、世界が広がるのはもちろん、多くの気づきとそこからの学びを得ることができます。
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