「木」の特性を活かした快適空間
住友林業株式会社(社長:光吉敏郎、本社:東京都千代田区)は東京都西東京市に4階建ての介護付き有料老人ホームを竣工し、施設は6月1日より利用開始されています。1階はRC造、2~4階は木造ツーバイフォー工法です。「笑顔の連鎖」をコンセプトに内装を木質化。「木」がもつ心理的・身体的ストレスの緩和効果や調湿・抗菌作用で建物空間の快適性を高め利用者の満足度向上につなげます。
■コンセプト 「笑顔の連鎖」
滞在時間の長い介護付き有料老人ホームには住宅同様の快適性や機能性が求められます。歩行時のクッション性を高めるために本施設の1階床下は木造住宅同様に束を立て空間を設けています。仕上げは厚さ12mmの国産クリの無垢床です。職員が頻繁に利用する室内の階段部分は1~4階まで全て木造とし身体への負担を軽減します。職員は疲れにくい環境で働くことでホスピタリティが向上し、施設利用者の笑顔にもつながります。
■建物の概要
1階の事務室や食堂はRC造の特性を活かした開放的な空間です。2~4階の居室は木造ツーバイフォー工法の特性を活かし全室共通の床面積としました。RC造や鉄骨造の建物に比べ軽量である木造は、鋼管杭の杭長を短くでき工期の短縮や建築コストも削減しています。
■環境への配慮
住友林業グループは2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」で中大規模木造建築を国内外で推進しています。世界のCO2排出量の37%※1が建設セクターで「暮らすときのCO2排出量(オペレーショナルカーボン)」はZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)やZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)の普及で削減が進んでいます。一方、「建てるときのCO2排出量(エンボディードカーボン※2)」の削減は今後の課題です。鉄骨造やRC造に比べてエンボディドカーボンが少ない木造建築に注目が集まっています。また、樹木は光合成により取り込んだ炭素を伐採後も木材内に固定・貯留します。これを「炭素固定」といい、脱炭素社会の実現には炭素を固定した木材を用いた木造建築の推進が不可欠です。
本物件は「One Click LCA※3」を用いて建設に使用する個々の資材データをもとにエンボディドカーボンと炭素固定量を算定しています。エンボディドカーボンは1,559.65トンCO2e※4、構造躯体に503.3m3の木材を使用し炭素固定量は470.59トンCO2ebio※5で40年生のスギ約1,570本※6の炭素固定量に相当します。今後も本ソフトウェアで物件毎の算定結果を比較するなど、エンボディドカーボンの削減を目指していきます。
※1 <出典> Global Alliance for Buildings and Construction(2021)
※2 原材料調達から加工、輸送、建設、解体時のCO2排出量
※3 2022年8月8日住友林業リリース 脱炭素設計のスタンダード化に向け「One Click LCA」日本語版発売
https://sfc.jp/information/news/pdf/2022-08-08.pdf※4 温室効果ガス(GHG)の排出量を二酸化炭素に換算し表記する際の単位
※5 樹木が成長過程で吸収固定した炭素量を二酸化炭素に換算し表記する際の単位
※6 林野庁 「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン
https://www.rinya.maff.go.jp/j/mokusan/mieruka.html■土地活用ニーズへの対応
都市部での介護付き有料老人ホームの建築は住居専用地域が多く容積率は概ね200%以内です。収益性の観点から容積率を最大化する階層が求められ、本施設は4階建てとすることで都市部の土地活用ニーズに応えています。
住友林業グループは森林経営から木材建材の製造・流通、戸建住宅・中大規模木造建築の請負や不動産開発、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業をグローバルに展開しています。2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」では住友林業のバリューチェーン「ウッドサイクル」を回すことで、森林のCO2吸収量を増やし、木造建築の普及で炭素を長期にわたり固定し、自社のみならず社会全体の脱炭素に貢献することを目指しています。今後も非住宅建築分野での木造化・木質化を推進し、木の魅力を最大限に生かした付加価値の高い商品・サービスを提供していきます。
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