不動産業界の脱炭素化に向けて、国内初の電力データを活用した賃貸住宅の専有部を含む電力利用量の解析サービスの提供に向けた検討を開始
株式会社GOYOH(本社:東京都新宿区、代表取締役:伊藤 幸彦、以下、GOYOH)と株式会社GDBL(本社:東京都千代田区、代表:平井 崇夫、以下、GDBL)は、一般社団法人電力データ管理協会を通じて取得した、一般送配電事業者が保有する電力スマートメーターデータを活用した、賃貸住宅を保有する機関投資家や不動産ファンド向けの脱炭素化支援サービス(以下、本サービス)の検討を進めてまいります。
本サービスは、不動産の脱炭素化に取り組むグローバル機関投資家や不動産ファンドなどに向けて、実数値に基づく不動産のCO2排出量(電気由来)や電力需給状況を把握、不動産に関連するESG評価改善のための連携の実現をサポートするサービスをSaaS型(注1)で提供するものです。
GDBLでは、従来脱炭素化支援サービス「ZeroCa」により、実数値に基づく地域の電力使用量等を把握するサービスを提供しており、本アセットを活用しGOYOHとの連携を行う事で不動産業界への展開を進めていくものとなります。
今後、両社が持つ既存サービスである「EnerSyGo」および「ZeroCa」の連携を深め、電力利用実態に即した計画策定・施策実行の推進に加え、脱炭素行動が求められる居住者の行動変容、行動定着化に必要となる各施策の検討を進めていきます 。
両社は、本サービスの提供を通じて電力データを社会実装し、不動産関連事業者が抱える「不動産の脱炭素化推進」、「GX(注2)の実現」に向けた課題を解決します。更に、本サービスを通じて賃貸住宅の居住者に新しい価値を提供することで、脱炭素行動の定着化・文化化に寄与し、業界のスタンダードとなることを目指します。
注1:「Software as a Service」の略称
クラウドサービス事業者がソフトウェアを稼働し、インターネット経由でユーザーがアクセスすることによって利用できる仕組み
注2:「Green Transfromation」の略称
脱炭素社会の実現に向けた取り組みを通じた、経済社会システム全体の変革
■背景
国連によると、世界の温室効果ガスの約17%は住宅から日々排出されています。機関投資家による世界的なネットゼロへの取り組みが進む中、国内における機関投資家や不動産事業者の保有する賃貸住宅における脱炭素への取り組みへの大きな障壁として、集合賃貸住宅での電力使用量の把握があります。
集合賃貸住宅のビル単位での電力使用量の把握は、長らく法整備や技術的な課題から難しく、不動産関連事業者にとってGRESB(注3)やCRREM(注4)等によるESG評価改善および脱炭素への取り組みにおける大きな課題となっていました。
このような社会課題の解決に電力データが活用可能となるように、GDBLの前身組織であるグリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合は提言活動等を行っておりました。その結果2020年6月の電気事業法改正によって、平時の電力データを有効活用する制度が整備され、電力使用量把握に向けた準備が整ってきております。
GOYOHとGDBLは2021年より当協業とサービス開発を行っており、既に国内の複数の賃貸住宅を保有する最大手のグローバル機関投資家や不動産ファンドとの実証テストを経て、この度、本サービスの開発と提供に向けて進めております。
注3:「Global Real Estate Sustainability Benchmark」の略称
GRESBは、不動産分野での企業やファンド単位でのESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを評価し、機関投資家による投資運用受託者の選定基準や対話のための評価ツール。グローバルなトップ機関投資家を中心に2009年に創設され、世界各国の170の機関投資家および2,200社以上の不動産ファンドや事業者が参画。
注4:「Carbon Risk Real Estate Monitor」の略称
CRREM(Carbon Risk Real Estate)は、欧州連合(EU)の支援を受けて、GRESBと同様に、NBIM(ノルウェー中央銀行投資管理)やAPGなどの欧州を代表する機関投資家が中心となり発足した商業用不動産の脱炭素化のための指針となる、気候変動の移行リスクの評価・モニタリングツールへの取り組み。GOYOHはグローバル科学&投資家委員会メンバーとして参画
■脱炭素への取り組みにより、不動産価値が変わる時代
不動産における脱炭素への取り組みは、2050年のネットゼロ目標へ向けて世界的な機関投資家を中心に急速に高まっています。ロンドンやニューヨークといった世界的都市では、CO2排出基準を満たさない建物へは罰金を科すなどの厳格な政策も次々と打ち出されています。欧米を中心にグローバルな機関投資家や不動産ファンドは各年毎に投資不動産からのCO2排出量を前述のCRREMを基準に削減目標を定め、削減目標から超過するCO2を排出する不動産は「座礁資産」として扱われ、資産価値棄損や投資不適格資産として見なされるなどの大きなリスクが顕在化しています。不動産のCO2排出の大きな部分を占める電力は、削減のための足元の取り組みとなる電力データの可視化が急務となっています。
■不動産×電力データ×環境 不動産を起点に脱炭素社会を推進
本サービスでは、脱炭素に係る機関投資家の不動産投資戦略に重要な関連を持つ電力データを最大限活用することで、エビデンスに基づく投資判断の推進を加速させることができます。
電力データの可視化に留まらず、両社の持つ専門的サービスと連携した、脱炭素計画の立案から実行、振り返りを一元管理できるサービス、脱炭素化の推進を自分事化しグリーン行動を習慣化させる住民向けサービスとの補完により、機関投資家の保有する不動産の脱炭素化を促進します。
■今後の展開
本サービスは、脱炭素先行地域をはじめとする不動産投資・運用事業に取り組む機関投資家や不動産ファンドのみならず、自社の保有資産の脱炭素化を支援する企業不動産オーナー、サプライチェーン排出量算定(Scope1,2,3(注5))からESG(注6)経営に取り組む民間企業においても、本サービスを活用することで、Scope2における電気の使用状況に関する実データを効率的に自動収集・集計することが可能となります。
両社は、電力データを不動産を媒介に社会実装することを通じ、GXの実現に向け、脱炭素化の課題解決に向けたソリューション提供の一助になるよう、これからも様々な取り組みを続けてまいります。
第一段階として、GOYOHの持つグローバルな機関投資家や不動産ファンドとのネットワークおよび不動産ESG運用ノウハウを活用し、国内の賃貸住宅への展開と、電力データの解析を発展的に活用した不動産資産での運営効率化、世界的な脱炭素フレームワークとの連携、不動産利用者と連携した環境価値や社会価値への転換、などを推進していきます。
注5:Scope1.事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
Scope2.他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3.上記以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
注6:「環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)」の頭文字を取って作られた言葉
当リリースでは、2023年7月時点での株式会社GOYOHの調べに基づき、国内初の電力データを活用した賃貸住宅の専有部を含む電力利用量の解析サービスと記載しています。
■本件に関するお問い合わせ先
製品・サービスについて
株式会社GOYOH
info@goyoh.jp
■株式会社GOYOHについて
GOYOHは不動産とテクノロジーを融合させた持続可能な不動産運用サービスを提供する不動産テック企業として、機関投資家や不動産オーナーがテナントや利用者と協調して、行動変容や資本的な介入によるCO2削減やESGインパクトを創出し、不動産価値を生み出すための不動産ESGプラットフォーム「EaSyGo」を提供しています。2021年のサービス開始以来、AXA REIM社やケネディクス社などのグローバル機関投資家や不動産運用会社が運用するオフィス、住宅、商業施設、ホテル、リゾート施設へサービスを提供しています。
会社名:株式会社GOYOH
代表取締役:伊藤 幸彦
所在地:東京都新宿区愛住町2
設立:2018年8月
事業内容:国内外の不動産・商業施設・住居用ITサービスの開発・運営
公式HP:
https://www.goyoh.jp/easygo/( EaSyGo )
GOYOHメンバーの特徴
GOYOHはグローバル機関投資家のための不動産脱炭素フレームワークであるCRREM(Carbon Risk Real Estate Monitor)のグローバル科学&投資家委員メンバーでもあり、不動産業界での世界的な脱炭素への枠組みに則ったソリューションを不動産の運用・運営の面で提供しています。またGOYOHの中核メンバーはグローバルな不動産投資とESG運用の分野において専門的な知見と経験を有しており、「ESG x 不動産運用」における実践的なノウハウを持っています。
■株式会社GDBLについて
GDBLは、東京電力パワーグリッド株式会社、中部電力株式会社、関西電力送配電株式会社、株式会社エヌ・ティ・ティ・データが出資し、2022年4月に設立されました。
グリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合の事業全般を引き継ぎ、電力データを活用した各種サービスを提供するとともに、電力データと異業種データの掛け合わせによる価値向上・新たな価値創造の実証やコンサルティング等、あらたなサービスを創出するための活動を展開します。
現在自治体向けに実数値に基づく地域のCO2排出量(電気由来)や電力需給状況を把握、実態に即した計画策定・施策実行の推進に加え、脱炭素行動が求められる地域住民の行動変容、行動定着化に必要となる各施策の実現をサポートするサービス「ZeroCa」を提供しております。
会社名:株式会社GDBL
代表取締役社長:平井 崇夫
所在地:東京都千代田区一番町13-1 新半蔵門ビル1階
設立:2022年4月
事業内容:電力データをはじめとする各種データを活用した加工・分析・サービス提供
公式HP:
https://www.gdbl.jp/企業プレスリリース詳細へPR TIMESトップへ