~中古マンション売却レポート 2023年8月号~
マンションリサーチでは、独自のデータを含めたさまざまな指標から中古マンション市場を観測しています。
今回は、中古マンションの新規売出価格と成約価格の間に大きな変化が観測されたので、その変化について記述していきます。
・首都圏の中古マンションにおいて「売り手」の姿勢は強気から軟化しつつある
・在庫件数が積み上がり、コロナ禍以前と同等水準にまで戻った
・価格下落局面もそう遠くはない
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構
上記のグラフは首都圏(一都三県)の価格の推移を示しており、青の棒線が平均成約平米単価、オレンジの棒線が平均新規売出平米単価を表しています。
2023年7月は非常に特徴的な推移を示し、成約価格が新売出録価格よりも高くなりました。
これは2013年4月からの観測史上初めてです。
(以下のグラフは上記グラフの2022年以降を拡大したものです。)
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構
通常、新規売出価格は、直近の成約価格に期待値を織り込んだものになる為、成約価格より低くなります。従って、非常に稀なケースとなります。
一方で以下のグラフの通り同様のケースは大阪府でも観測されております。
大阪府においては、この現象が観測される場合、成約価格が前月よりも大きく跳ね上がる傾向があるようです。これは局所的に上がった成約価格に新規売出価格が追い付かなかった為、起こると類推されます。
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構
今回の一都三県は、成約価格が前月(2023年6月)よりも低く、それを上回る形で新規売出価格が下落しました。成約価格は買い手の姿勢を反映する一方で、上述した通り新規売出価格は成約価格に期待値を織り込むという意味で、売り手の姿勢を強く反映します。
従って、売り手の姿勢が強気から「軟化」してきたことが想定されます。
また以下は、一都三県の在庫の推移を示しています。
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構
2021年中旬以降増加傾向にあり、2023年7月ではコロナ禍以前と同等の水準に戻しつつあります。従って需給バランスを考えても売り手の姿勢を「軟化」させる傾向にあるようです。
一都三県の成約価格は依然として高水準にあるものの、2023年7月は2023年に入り始めて前月比で下落しました。前述した売り手の「軟化」姿勢を考慮すると、価格の下落局面の潮目も遠くはないのかもしれません。
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