2023年を代表するリノベーション事例が決定!
一般社団法人リノベーション協議会(東京都渋谷区・理事長:山本卓也)は、2023年を代表する魅力的なリノベーション事例を選ぶコンテスト「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2023」(選考委員長:リノベーション協議会 発起人 島原万丈)の授賞式および選考委員による講評会を12月14日(木)に東京大学本郷キャンパス内にて開催し、株式会社bELI「誰もが快適に過ごせる特別な高級トイレ空間『プレミアムT』」が総合グランプリを獲得しました。
本コンテストでは、消費者にとって関心の高い施工費別に「800万円未満部門」「1500万円未満部門」「1500万円以上部門」「無差別級部門」の4部門を設けています。全国からエントリーされた計267作品を、リノベーションの楽しさ・魅力・可能性という点にフォーカスしてSNSを活用した一般ユーザーの声を取り入れ一次審査をし、67作品をノミネート選出。その後、住宅系を中心としたメディアの編集者8名で構成された選考委員によって最終選考を実施し、総合グランプリ、部門別最優秀賞4点、特別賞13点を決定しています。また、今年度から新たに、リノベーション・オブ・ザ・イヤー2023にエントリーした事業者が投票で選ぶ「プレイヤーズチョイス」も新設いたしました。
受賞作品:
https://www.renovation.or.jp/oftheyear/award.html受賞作品一覧
□総合グランプリ
誰もが快適に過ごせる特別な高級トイレ空間「プレミアムT」 |株式会社bELI
https://www.renovation.or.jp/app/oftheyear/2023/1642■選考委員長講評(島原万丈/LIFULL HOME’S総研 所長)
プレミアムトイレ? 正直なところ、審査員は当初この作品の解釈に戸惑っていた。エントリーされた7枚の画像はすべてトイレである。それも、居室の中になんの仕切りもされず置かれた便器を、色々な角度から撮影したものだ。まぁ確かに世の中には風呂好きがいるようにトイレをこよなく愛する人がいてもおかしくはない。東孝光の「塔の家」や清家清の「私の家」のようにトイレに仕切りを設けなかった有名な建築作品もある。いずれにせよ、これはかなり個性的なニーズを持つ施主の要望に応えた作品で、どこかコンテスト受けを狙ったエントリーなのでは、と誰もが思った。
しかし、テキストを読むとそのような戸惑いは衝撃的な腹落ちとともに称賛に変わった。この作品は、難病指定のクローン病と闘う友人をヒントに、様々な消化器係の疾病を持つ人たちの知られざる苦労を知ってもらうために企画されたリノベーションである。健常者が意識することもない「不」があることをメッセージするこの作品は、住宅設計の一般的な常識というものが、マイノリティにとってはいかに抑圧的なものであるのかを、私たちに気づかせてくれる。
□<800万円未満部門>最優秀賞
これからの団地リノベのあり方を問う。|株式会社フロッグハウス
■審査員講評(池本洋一/SUUMO編集長)
神戸住環境整備公社が団地リノベのモデルハウスを公募し、それに採用された作品。同社は再開発が進む同エリアで若いファミリーを呼ぶ提案を行った。1999年の省エネ基準改正の施行、2000年の住宅性能表示制度により日本の新築住宅の質は向上。その2000年以降築年の住宅で育った「性能体感キッズ」が購買、賃貸の主力になりつつある。その層にとってはカビや寒さは「違和感」でしかない。本作品は、ひどい結露、玄関収納・脱衣所ナシなど団地特有の課題に着目。まずは壁の断熱改修を実施。冬は暖房なしで過ごせる日もあるという。また玄関と水回りの面積を1.5倍に拡大。ベビーカーが置け、脱衣所スペースには室内干し空間もある。ふんだんに県産杉の板壁も採用した内装は写真から杉のいい香りが伝わってくる。団地には珍しい回遊性、曲線美のあるキッチンも若い層を惹きつける。長年暮らす高齢の住民から「いずれは息子家族が住むから」の相談も。次の住み手に良質な状態で継げる副次的効果にも注目したい。
□<1500万円未満部門>最優秀賞
アウトラインの行方|株式会社grooveagent
■審査員講評(徳島久輝/RoomClip住文化研究所 特任フェロー)
リノベーションは個別具体的なニーズを反映させられることが最大の魅力であるが、とある時点でのニーズを叶えすぎると、フィットしなくなった時の不満は逆に大きくなることもある。とはいえ、未来を完全に予測するのは不可能なので、ある程度の余白を残しておくことは大事なこと。その意味において、こちらの作品は素晴らしい提案となっている。柱材で組み上げたフレームは空間のデザイン的な特徴も作りつつ、将来の間取り変更において機能的な役割も果たす。家族みんなでその時々の空間の使い方を話しあい、一緒に模様替えをしたりする中で、お子さま達の住まいの関するリテラシーがあがりそうなのも素晴らしいポイント。
□<1500万円以上部門>最優秀賞
戻す家|株式会社モリタ装芸
■審査員講評(君島喜美子/リライフプラス編集長)
まず簡潔なタイトルがとてもいいと思いました。雑誌の原稿を書く際「再構築」という言葉を使うことが多く、それこそがリノベーションの醍醐味だと思ってきましたが、「戻す」という選択肢があるのは大きな発見でした。125年と築年が古く、何度か増築されていることに加えて豪雪地域でもあり、困難なことも多かったと思いますが、モリタ装芸さんの設計力と技術力、また施主さんとのしっかりとした信頼関係があってこそ実現したプロジェクトなのではないでしょうか。「土と木」という素材のサステナビリティ、力強さを改めて感じました。
□<無差別級部門>最優秀賞
「記憶」を刻み、「記録」を更新する『the RECORDS』|株式会社拓匠開発
■審査員講評(池本洋一/SUUMO編集長)
拓匠開発は楽しさや独創性を大事にする面白い会社だ。以前に「椿森コムナ」という住宅街に突如、木製階段、デッキ、ツリーハウスが現れる私設公園を取材したが分譲デベロッパーがなぜ?という衝撃があった。また同社は千葉愛も強い。千葉公園で夜のアートフェス「夜ハス」を定期開催。その公園に隣接するのがこの複合商業施設『the RECORDS』。千葉駅から近く、公園隣接という好立地だが、元ビジネスホテルだった建物の1階は駐車場で、公園への眺望も客室の小さな窓面しかなく立地を生かせていない。そこで公園側に大きな窓を設け、1階はフードコートスタイルの食堂に。デリ、バー、ベーカリー、コーヒーの4店舗を備え、2階は巨大な吹き抜けを持つラウンジに。容積率にカウントされない屋内駐車場を店舗にすると、他で床面積を減らす必要があるが、上階の床を抜き吹抜けとし、その解消と公園一体の開放的な空間を両立させた。ロマンと算盤を併せ持つ地場デベロッパーが存在する街はいいなと感じた作品だ。
<特別賞>
□インキュベーション・リノベーション賞
近大発ベンチャー創出拠点「KINCUBA Basecamp」|リノベる株式会社
□伝統建材リノベーション賞
新しい価値観の持ち主たちへ。|株式会社アトリエいろは一級建築士事務所
□レスキュー・リノベーション賞
東京下町の古民家よ、再び|株式会社コスモスイニシア
□和洋折衷リノベーション賞
松竹梅の「欄間」 ―ローテンブルクと時の記憶―|G-FLAT株式会社
□劇的ワンポイント・リノベーション賞
A Castle "In the House"| 株式会社ブルースタジオ
□ライフ・リノベーション賞
緑とミドリ/ お家とお店|株式会社日々と建築
□ユニバーサル・デザイン賞
What is Barrier “Free” ?|株式会社grooveagent
□連鎖的エリアリノベーション賞
お手本のようなエリアリノベーション|株式会社タムタムデザイン
□フレキシブル・リノベーション賞
遊び心は無限大!顧客に響く賃貸リノベ|株式会社住環境ジャパン
□ディスカバー・リノベーション賞
風通る、地域コミュニティの再編|paak design株式会社
□ムーバル・リノベーション賞
動く家|有限会社中川正人商店
□ウェルネス・リノベーション賞
健康寿命社会 ~もう一度ふたり暮らし~|株式会社アネストワン
□実家リノベーション技術賞
タクミノイエリノベ2|有限会社斉藤工匠店
<プレイヤーズチョイス>
これからの団地リノベのあり方を問う。|株式会社フロッグハウス
※800万円未満部門 最優秀賞 でも入賞
選考委員長総評
選考委員長 島原 万丈 / LIFULL HOME'S総研所長(株式会社LIFULL)
昨年10周年を経て、次の10年に向けてのスタートとなったリノベーション・オブ・ザ・イヤー2023は、88社・267作品のエントリーで争われた。
今年のアワードでは二つの変更点がある。一つは、「プレイヤーズチョイス・アワード」の新設。これは、メディア関係者が審査員を務める従来のアワードに対して、オブ・ザ・イヤーにエントリーした事業者の投票による事業者目線で選ぶアワードである。もう一つの変更は、一住戸のリノベーションの価格帯による別部門分けの改編。これまで500万円未満/1000万円未満/1000万円以上と区切っていた部門をそれぞれ、800万円未満/1500万円未満/1500万円以上と改めた。これは、昨今のリノベーション費用の高騰という市場環境の変化に対応したものだ。円安や人手不足を要因とする資材価格や人件費の上昇を受け建設費用は上昇傾向が続いており、リノベーション市場もその影響を免れてはいない。当アワードでも、ここ数年は低価格帯である500万円未満部門へのエントリーが減少し、1000万円以上部門の比重が年々高まっていた。
(選考委員講評全文はこちら↓)
https://www.renovation.or.jp/oftheyear/award.html選考委員
選考委員長:
島原 万丈/LIFULL HOME'S総研所長(株式会社LIFULL)
選考委員(五十音順・敬称略):
池本 洋一/SUUMO編集長(株式会社リクルート)
佐々木 大輔/日経アーキテクチュア 編集長(株式会社日経BP)
君島 喜美子/リライフプラス 編集長(株式会社扶桑社)
徳島 久輝/RoomClip住文化研究所 特任フェロー(ルームクリップ株式会社)
八久保 誠子/LIFULL HOME'S PRESS 編集部 編集長(株式会社LIFULL)
ゲスト選考委員:
星崎 真紀/漫画家「魔法のリノベ」作者
斉藤 アリス/TOKOSIE編集部・ライター、モデル
一般社団法人リノベーション協議会について
消費者が安心して既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させることを目的に、2009年7月に発足したリノベーション業界団体です。現在、業界・業種の枠を超えた819社(正会員610社、賛助会員192社、特別会員4名・9法人・4自治体)が参画し、優良なリノベーションの統一規格「適合リノベーション住宅」を定め、建物タイプ別に品質基準を設定、普及浸透を推進しています。区分所有マンション専有部に関する品質基準を満たす「R1住宅(アールワンジュウタク)」、区分所有マンション共用部も含む品質基準「R3住宅(アールスリージュウタク)」、戸建住宅の品質基準「R5住宅(アールファイブジュウタク)」が運用されており、適合リノベーション住宅発行件数は、累計68,532件(2023年3月31日現在)。2022年6月からは、R1住宅エコ基準も運用開始し、地球環境にもやさしいリノベーションの普及を目指します。
また、本年より中古住宅流通とリノ ベーションの提供に必要な知識を総合的に学ぶことができる新たな資格制度「リノベーションコーディネーター資格制度」を創設。リノベーション業界に関わる人材の知識や技術の底上げや、他業界からの転職、新卒採用等、採用機会の拡大や人材定着につなげ、中古住宅の流通とリノベーションの活性化に寄与してまいります。
http://www.renovation.or.jp/名 称 :一般社団法人リノベーション協議会
理 事 長 :山本 卓也
設 立 :平成21 年5月20日
住 所 :東京都渋谷区渋谷2-2-2青山ルカビル4F
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