在来種を採用した緑化活動による都市の生物多様性保全効果が未実施時の3倍であることを確認(ニュースレター)

大和ハウス工業株式会社

2024年8月19日 16時17分

■ネイチャーポジティブ実現への取り組み

 大和ハウス工業株式会社(本社:大阪市、社長:芳井敬一)は、全事業を通じて取り組んでいる在来種を採用した緑化活動が、実施しなかった場合と比較して、都市部において約3倍の生物多様性保全効果があることを確認できましたので、お知らせします。

 当社は、創業100周年にあたる2055年を見据えて、2016年度に環境長期ビジョン“Challenge ZERO 2055”を掲げ、持続可能な社会の実現を目指しています。2022年度には、具体的な計画と目標を「エンドレスグリーン プログラム 2026」として策定し、生物多様性への取り組みも進めています。その一環として、「ネイチャーポジティブ」(※1)実現に向けて、グループ共通の緑化コンセプト「みどりをつなごう!」を合言葉に、在来種を50%以上採用する緑化活動を進めており、2022年4月から2024年3月までに、地域の生態系に配慮した緑被面積(※2)を46.4万平方メートル (東京ドーム約9個分)創出してきました。
※1.生物多様性の損失を食い止め、回復軌道に乗せること。
※2.緑地の水平投影面積。




 世界的には、2022年12月のCOP15(※3)で「ネイチャーポジティブ」の達成を目指す国際目標が採択され、2023年9月にはTNFD(※4)最終提言が示されるなど、生物多様性の保全や再生効果に関する定量的な評価と開示が求められています。
 そこで当社は、生物多様性のビッグデータ分析を行う株式会社シンク・ネイチャー(以下、シンクネイチャ-)と共同で、都市で行った緑化活動における生物多様性保全効果を定量的に評価検証しました。(※5)その結果、緑化しなかった場合と比較して約3倍の生物多様性保全効果があることを確認しました。
 今後は、検証結果をもとに、2030年までに地域の生態系に配慮した緑被地を200万平方メートル 以上創出することを目指すほか、TNFDにおいて開示が推奨される、自然保護機会の「指標と目標」にも活用し、最新の科学的知見を取り入れながら、生物多様性保全の取り組みを進めていきます。
※3.国連生物多様性条約第15回締約国会議。
※4.民間企業や金融機関が、自然資本および生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価し開示するための枠組み構築を目指す国際的な組織。
※5.検証期間は2024年5月1日~2024年7月30日。

■検証概要
 当社は、シンクネイチャーが保有する生物多様性ビッグデータと空間解析技術を用いて、在来種を採用した緑化活動の生物多様性保全効果を定量的に評価しました。緑化の減少が著しい首都圏(1都3県)において、2022年4月から2024年3月までに在来種50%以上の緑化を実施した286物件(※6)を対象に、生態系の豊かさ・希少性・固有性などから生物多様性保全優先度(かけがえのなさ度)を1件ごとに検証しました。
 加えて、生物多様性保全効果の評価指標として捕捉率(※7)と再生効果(※8)を採用し、286物件のうち代表的な30物件(※9)を評価対象として、在来種の植栽率が30%以下および在来種が植栽されていない物件と比較することで緑化活動において在来種を採用することの重要性を評価しました。
※6.戸建住宅:77件、集合住宅:76件、マンション:5件、商業・事業施設:128件。
※7.物件周辺5km以内に生息するすべての樹木・鳥類・チョウ類種のうち、植栽した樹種の割合、あるいは植
栽した樹種を利用する鳥類・チョウ類種の割合を計測したもの。
※8.物件周辺1km内に生息する、樹木・鳥類・チョウ類種数と個体数の増減度合いを計測したもの。
※9.戸建住宅:8件、集合住宅:8件、マンション:2件、商業・事業施設:12件。

1.生物多様性保全優先度(かけがえのなさ度)の評価


 今回の調査では、当社が施工または開発した物件での緑化活動が、生物多様性保全に大きな効果が期待できることを確認しました。
 シンクネイチャーが作成した「生物多様性保全優先度地図」(※10)において、当社が緑化を進めた286物件のうち半数以上の立地地域は生物多様性保全優先度が全国上位20%以内の地域にありました。
※10.生物多様性保全優先度を可視化・数値化した地図。
数値が高いほど生物多様性保全優先度が高い。


2.在来種植栽率と捕捉率・再生効果の評価
 今回の調査では、在来種の植栽率が高いほど捕捉率と再生効果が高いことが確認できました。在来種の植栽率が50%以上の在来種高物件(30物件)においては、在来種の植栽率が30%以下の在来種低物件(5物件)や在来種が植栽されていない物件(5物件)(※11)と比較して捕捉率が1.1~3倍、再生効果が3倍以上となりました。(※12)
※11.在来種低物件における在来種を外来種植栽樹種に置き換えた場合の物件。
※12.樹種・鳥類種・チョウ類種の平均捕捉率および平均再生効果。





 また、在来種高物件の中でも、緑の量と質の確保に取り組みABINC認証を取得した「プレミスト昭島モリパークレジデンス」(東京都昭島市)では、在来種低物件と比較して3倍の捕捉率と23倍の再生効果がありました。
 これにより、多様な在来種の選定とまとまった植栽が生物多様性の保全に大きく貢献することを確認できました。






●琉球大学理学部教授 兼 シンクネイチャー代表取締役 久保田 康裕氏からのコメント(抜粋)
 大和ハウスグループの緑化コンセプトは「みどりをつなごう!」と定義されています。このコンセプトを生態学的に解釈すると、生き物の住み場所となる「みどり」を植栽事業で増やし、個々の緑地を「ネットワーク」として連結して、野生生物の生息可能な面積を増加させて、生物種の絶滅リスクを緩和する効果を目指したアクション、と言えます。
 今回の評価では、「在来の生物多様性に配慮しなかった場合の植栽」を仮想的なベースラインとして、実際の物件における在来種の植栽効果を定量しました。その結果、在来種植栽なしのベースラインと比較して、高いネイチャーポジティブ効果があることが明らかになりました。全体平均では、生物多様性の再生効果は3倍以上の効果があり、分類群別(樹木・鳥類・チョウ類)の効果についても、1.1~3倍以上の効果がありました。このように、緑化事業の生態学的な効果を、データに基づいて「見える化」すると、ネイチャーポジティブ観点で、在来樹種の植栽でみどりをつないだ「費用対効果」が把握できます。
 今回の評価結果をもとに、生物多様性をより効果的に再生する植栽プランを検討することが期待されます。さらには、物件開発における植栽事業を科学的アプローチで高度化することにより、生物多様性ネットゲインをもたらすことも目指すべきでしょう。大和ハウスグループ全体として、国内外の物件開発における植栽事業のネイチャーポジティブ効果を定量評価することで、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」のターゲット12「都市の緑地親水空間の確保」への、企業貢献も「見える化」できるはずです。
大和ハウスグループの緑化コンセプト「みどりをつなごう!」、その先は自社のビジネスを通した「自然と共生する世界」の実現です。

■TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)への対応


 当社は、2024年5月、J-GBF(2030生物多様性枠組実現日本会議)が呼びかける「ネイチャーポジティブ宣言」(※13)の登録を行いました。また、2024年6月には、TNFDを支援するTNFDフォーラム(※14)に参画し、TNFDアダプター(※15)に登録しました。
※13.ネイチャーポジティブの実現にむけた活動の表明。
※14.TNFDでの議論を、専門知識を提供するステークホルダーとしてサポートする国際組織。
※15.TNFD 提言を採用した開示を行う意向をTNFD のWeb サイトで登録した企業のこと。登録した企業は2025 年会計年度までの企業報告においてTNFD提言に沿った開示が求められる。


●大和ハウス工業の「ネイチャーポジティブ宣言」
1.2030年までに、サプライヤーとの協働により、住宅・建築関連事業における木材調達にともなう森林破壊ゼロの実現を目指します。
2.2030年までに、住宅・建築関連事業において、生物多様性に配慮した緑の量と質の向上施策を推進し、累積200万平方メートル 以上の生物多様性に貢献した緑の創出を目指します。
3.2030年までに、自社関連サイトの生物多様性評価を完了させ、生物多様性保全上の重要なサイト(※16)のすべてにおいて、保全活動を継続的に実施していることを目指します。
※16.工場、社有林、ホテル周辺、商業施設・都市公園など。




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