グローバル都市不動産研究所 第16弾(都市政策の専門家 市川宏雄氏監修)
投資用不動産を扱う株式会社グローバル・リンク・マネジメント(本社:東京都渋谷区、以下GLM)は、(1)東京という都市を分析しその魅力を世界に向けて発信すること、(2)不動産を核とした新しいサービスの開発、等を目的に、明治大学名誉教授 市川宏雄 氏を所長に迎え、「グローバル都市不動産研究所(以下、同研究所)」を2019年1月1日に設立しました。
(過去のレポート一覧はこちら ⇒
https://www.global-link-m.com/company/institute/)
同研究所では、調査・研究の第16弾として、昨年のレポートに続き2回目となる「不動産投資に対する意識調査」を実施しました。
【01】一般消費者の投資・不動産投資に対する興味
投資に興味あり 昨年の41.4%から45.2%に3.8㌽向上
不動産投資に少なからず興味 昨年の36.0%から39.1%にアップ
不動産投資の意識を経年比較
グローバル都市不動産研究所(以下、「当研究所」)では、全国の20代~60代の1万人以上を対象に、投資や不動産投資に対する興味・関心を尋ねる内容と、投資用不動産所有者400人に対して投資目的・投資意向を尋ねる調査を実施しました。
当研究所では同様の調査を2021年1月にも実施しています(2021年5月20日に同研究所の第10弾研究レポートとして発信→
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000098.000020953.html)。今回が2回目となり、経年比較を中心にまとめました。
1.【一般】投資に対する興味
貯蓄から投資へ? 投資の興味度UP
投資に対する興味を尋ねたところ、「とても興味がある」(18.6%)、「やや興味がある」(26.6%)をあわせた45.2%が投資に「興味がある」と回答していました。「興味がある」は、昨年の41.4%から45.2%に3.8㌽増えています。
属性別にみると、性別では男性、年代では若年層、年収では高額所得層の方が投資に興味が強い傾向があります。
昨年と比べると、年代・居住地・年収を問わずに投資に対する興味が増していることが分かりました。貯蓄から投資に対する意識が浸透してきている様子が読み取れます。
2.【一般】不動産投資に対する興味
女性や若年世代が現物資産に関心?
不動産投資に投資に対する行動や興味を尋ねたところ、「現在不動産投資の収入メインで生活をしている」(0.6%)、「副業として不倒産投資を運用している」(2.7%)、「興味があり、セミナーや説明会に足を運んだことがある」(3.4%)、「興味はあるが実際に行動したいことはない」(32.4%)で、少なからず興味を持っている層は39.1%(前年36.0%)でした。
属性別に経年比較すると、性別では女性、年代では若年層で不動産投資に対する興味が増しているように見えます。女性や若年世代が「現物資産」に魅力を感じているのかもしれません。
3.【一般】不動産投資をしていない理由
投資に興味がない⇒費用がない
不動産投資に対して非接触的な層に絞って、不動産投資をしていない理由(最も当てはまるものをひとつ)を尋ねたました。
この結果、「投資する費用が高い(投資にかける預貯金がない)」が32.2%でもっとも高く、前年1位だった「投資そのものに興味がない」(28.3%)を上回りました。
不動産投資に対する興味は持ち始めて情報収集しているものの、費用の面から投資行動を控えている様子をうかがうことができます。この証左として、「不動産の知識が無い、難しいと思っている」「他の投資を実施している」「他の投資を検討している」が前年よりも増えています。
属性別にみると、年代が若いほど「投資する費用が高い(投資にかける預貯金がない)」の比率が高いことが確認できます。経年でみると、「投資する費用が高い(投資にかける預貯金がない)」は、どの年代でも前年から増加しています。
【02】投資用不動産保有のきっかけ・目的
ネット広告やセミナーをきっかけに不動産投資を始める比率が増加
20代~30代の運用目的 「老後の年金対策」や「所得税・住民税対策」が増加
4.不動産投資をはじめたきっかけ 営業電話が減りネット広告が大きく増加
投資用不動産所有者に絞って、不動産投資を始めたきっかけを尋ねたところ、「パソコン・スマホ等の広告」が20.3%でもっとも高い結果でした。昨年に1位だった「家族や友人からの口コミ」は、今年は僅差ながら3位になりました。「営業の電話がかかってきた」や、マス広告の「テレビCM、ラジオ、新聞、雑誌」は減少傾向にある一方、「セミナー」は増加。パソコン・スマホ等の広告やセミナーに参加をきっかけに情報収集して不動産投資を始めるスタイルが拡がっているようです。
属性別にみると、若年代は「家族や友人からの口コミ」が高く、年代があがると「自分もしくは親族の土地を持っていた」が高くなる傾向がみられます。おおむね50代前後から相続が本格化するものと考えられます。20代~30代は、経年でみると「パソコン・スマホ等の広告」が1割前後増えており、ネット広告がきっかけになった投資行動が増えているようです。
5.不動産投資の目的 資産運用目的が大半
投資用不動産所有者に、不動産投資をはじめた目的(もっともあてはまるもの)を尋ねたところ、「資産運用」が64.8%で大半を占めていました。「資産運用」は前年の67.3%から2.5㌽減少しています。「老後の年金対策」が19.0%で続いており、これは前年より0.5㌽上昇しました。属性別にみると、20代~30代は「資産運用」が大半を占めるものの、経年では「老後の年金対策」や「所得税・住民税対策」が増えています。将来不安が強いことと、少しでも節税に繋げたいという意識が若い世代で拡がっている可能性が考えられます。
【03】不動産投資家の注目エリア・物件
保有物件 ワンルーム区分マンションが増加、一棟から区分へシフト
注目エリア 高所得層は人口動態にあわせて都心23区や横浜・川崎に注目
6.保有している物件 ワンルーム区分マンションが大幅増加
投資用不動産保有者に保有している物件の種別を尋ねたところ、「ワンルーム区分マンション」(36.0%)が前年に続いて1位、比率も前年から大幅に増加しています。一方、前年は2位だった「一棟アパート」は14.3%にとどまりました。「一棟マンション」も低下傾向にあり、個人の不動産投資行動は、一棟から区分にシフトしたことが分かりました。都区部を中心にマンションの高騰が続いているため、購入しやすさと運用益への期待から区分単位で投資を進めていると考えられます。
属性別にみると、若年代は「ワンルーム区分マンション」の比率が高い傾向が確認できます。
居住地別にみると、関東、中部、関西、九州・沖縄は「ワンルーム区分マンション」がもっとも高い一方、北海道や中国・四国は「戸建て」の比率が高い結果です。年収別にみると、年収が高いほど「ワンルーム区分マンション」の保有比率が高いことがわかります。年収が高い層は様々な物件を保有しているようで、ポートフォリオバランスを意識しているとみられます。
7.興味のある投資用物件(今年のみ) ワンルーム区分マンションに強い興味
投資用不動産所有者に、興味を持っている投資用物件の種別を尋ねたところ、「ワンルーム区分マンション」がもっとも多く38.6%でした。これに「ファミリー向け区分マンション」「一棟マンション」「戸建て」が続いており、レジデンス物件が上位を占めています。
レジデンス以外では、「事務所・店舗」が6.0%で高く、「物流・倉庫」が5.0%で次いでいます。コロナ禍で電子商取引が増加したこともあり、興味を持たれている可能性が考えられます。
8.興味のあるエリア 都区部を中心に首都圏に強い関心
投資用不動産所有者に、興味を持っている投資用物件のエリアを尋ねたところ、「東京その他23区」「東京都心5区」が3割弱を占めています。
これに「東京都市部」「横浜・川崎エリア」が続いています。これら上位のエリアは、いずれも前年よりも回答比率が増えています。
また、全体的にどのエリアも前年より比率が高くなる傾向が見られますが、「大阪府」「その他関東」「京都府」「東海地方」は前年よりも比率が減少しました。
属性別にみると、年代を問わずに首都圏に対する興味は強いことが分かります。
一方、居住地別にみると、居住地周辺の物件に関心が強い傾向があり、投資用物件も“地元”が好まれるようです。
経年で見ると、20代は「東京都心5区」に対する興味が大幅に強くなっています。また高所得者は、人口動態の変化にあわせて「東京その他23区」や「横浜・川崎エリア」に対する興味が増しているようです。
【04】都市政策の専門家 市川宏雄所長による分析結果統括
女性・若年層を中心に不動産投資への興味が増加
依然として根強い都心回帰がマンションの需要を維持か
この調査は昨年も行ったもので、コロナ禍で人々の意識がどう変わったかをみることができます。
まず、投資への興味については昨年の41.4%から45.2%に3.8ポイント上昇しました。また、不動産投資に少なからず興味を持つ人が昨年の36.0%から39.1%にアップし、コロナ禍で先行きが不安であるなかで、不動産の価格維持力を知って不動産投資は期待が上がっていることが分かりますが、属性別には女性、年代では若年層で不動産投資に対する興味が増しています。
不動産を求める人の3分の2は資産運用が目的ですが、老後の年金対策や所得税・住民税対策を意識する若い世代が増えているようです。実際に保有している物件の種別を尋ねたところ、ワンルーム区分マンションが多く、比率も前年から大幅に増加しているのに対して、一棟アパートや一棟マンションが減っています。都区部を中心にマンションの高騰が続いていることが影響しています。レジデンス以外では、事務所・店舗、物流・倉庫がそれぞれ5.0%ぐらいあります。
投資エリアとしては依然として都区部を中心に首都圏に強い関心があり、とりわけ20代の若者は「東京都心5区」に対する興味が増しています。そのなかで、大阪府、その他関東、京都府、東海地方では前年よりも少し下がりました。
かつて10年以上前のリーマンショック、その後の東日本大震災による経済の低迷と不動産価格の低下を経験したことから考えると、今回のコロナ禍でも似たような傾向になるのではないかとの予測が当初ありました。ところが、結果は不動産価格の低迷が一時期あったものの、既に上昇局面に移行しています。コロナ禍で東京からの流失が起きて人口が減少、その結果、不動産需要の減少が起きるということにはならなかったようです。依然として根強い都心回帰が、ワンルーム区分マンションの需要を維持しています。これは東京都心だけでなく、大阪市の都心部にもみられる傾向です。
取材可能事項
本件に関して、下記2名へのインタビューが可能です。
ご取材をご希望の際は、グローバル・リンク・マネジメントの経営企画部 広報担当までお問い合わせください。
・氏名 :市川 宏雄(いちかわ ひろお)
・生年月日 :1947年 東京生まれ(74歳)
・略歴 :早稲田大学理工学部建築学科、同大学院修士課程、博士課程(都市計画)を経て、カナダ政府留学生として、カナダ都市計画の権威であるウォータールー大学大学院博士課程(都市地域計画)を修了(Ph.D.)。一級建築士。世界の都市間競争の視点から大都市の将来を構想し、東京の政策には30年間にわたり関わってきた東京研究の第一人者。
現在、明治大学名誉教授、日本危機管理防災学会・会長、日本テレワーク学会・会長、大都市政策研究機構・理事長、日本危機管理士機構・理事長、森記念財団都市戦略研究所・業務理事、町田市・未来づくり研究所長、Steering Board Member of Future of Urban Development and Services Committee, World Economic Forum(ダボス会議)in Switzerlandなど、要職多数。
・氏名 :金 大仲(きむ てじゅん)
・役職 :株式会社グローバル・リンク・マネジメント 代表取締役
・生年月日 :1974年 横浜生まれ(48歳)
・略歴 :神奈川大学法学部法律学科卒業。新卒で金融機関に入社。その後、家業の飲食店を経て大手デベロッパー企業に転職し年間トップセールスを達成。そこでの経験を経て30歳の時に独立し、グローバル・リンク・マネジメントを設立。
会社概要
社名: 株式会社グローバル・リンク・マネジメント
設立: 2005年 3月
資本金: 539百万円(2021年 12月末)
代表取締役社長:金 大仲
本社: 東京都渋谷区道玄坂一丁目12番1号 渋谷マークシティウエスト 21F
事業内容:不動産ソリューション事業(投資用不動産の開発、販売等)、プロパティマネジメント事業
会社HP:
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