多世代交流で社会課題を解決新しい形のコミュニティ「Open Village ノキシタ」の試み

積水ハウス株式会社

-0001年11月30日 0時00分

~様々な事業を紹介する「積水ハウス ストーリー」の最新情報を公開~

積水ハウスの様々な事業を紹介する「積水ハウス ストーリー」の公開を開始しました。
お客様の戸建て住宅への想いや、商品開発への想いを、毎回テーマを設定してご紹介します。第64弾として10月2日に、“世代を超えた交流ができる新しい形のコミュニティ「Open Village ノキシタ」”についてのストーリーを公開しました。

地域課題を解決する“コミュニティ”が不足
2011年の東日本大震災から12年が経過し、被災地では日常を取り戻しつつあります。
官民のさまざまな復興活動により、インフラの整備は進んでいますが、いまだ克服すべき課題が残っています。その中でも特に重要なのは、コミュニティの再建です。


都市・地方とも多世代のコミュニケーション不足は課題の一つ
(写真は、ノキシタ利用者の様子)


「東日本大震災によってコミュニティの重要性が再認識されました。」と話すのは、東京都市大学環境学部の古川柳蔵教授。この100年の間に、以前のいわゆる「井戸端会議」のような外で人々が気軽に集う機会が減少しました。地域ごとに抱える課題は異なり、都市部では孤独や居場所の不足などが問題視されています。これらの課題の中には、コミュニティの力で解決できることもあると古川教授は指摘します。


東京都市大学環境学部の古川教授


「Open Village ノキシタ」の誕生
仙台市の田子西地区には、東日本大震災で家を失った多くの被災者が移住しました。
しかし、新しい環境で知人がいないという孤独や孤立感を持つ人も多く、地域になじむことは容易ではありませんでした。そこで、2019年に誕生したのが、「Open Village ノキシタ」です。ノキシタは、「コレクティブスペース」 「障がい者就労支援カフェ」 「保育園」 「障がい者サポートセンター」「障がい者グループホーム」「ショートステイ」が4つの建物に集まる“小さなまち”で、高齢者、障がい者、子ども、子育て中の親たちが横断的に交流し、社会的な課題を「つながり」と「役割」で解決することを目指しています。


「Open Villageノキシタ」 2020年にキッズデザイン賞を受賞



築山を囲んで障がい者、高齢者、子どもたちが交流


敷地内には、“ふたご山”と呼ばれる築山を囲むように、4つの施設が配置されています。「ノキシタカフェ」は障がい者の就労や自立に向けた訓練を行なっており、一般の方も利用できます。また、会員制の交流スペース「コレクティブスペース・エンガワ」では、親子連れや高齢者、障害のある方もない方も、シェアキッチンで料理を楽しんだり、さをり織りを学んだり、楽器を演奏したりと、さまざまな活動が楽しめます。


築山を囲んで4つの施設が配置



「ノキシタカフェ」 障がい者とサポートスタッフが協力して働く、
一般の方も利用可能



「コレクティブスペース・エンガワ」 シェアキッチンで料理、さをり織りを体験


“課題×課題=問題解決”という発想の転換
施設を運営する株式会社AiNestの代表でノキシタの村長を務めるのは加藤清也さん。
震災後、被災者の中に孤独な高齢者や障がい者が存在する現実を目の当たりにし、交流の場をつくりたいと考えていました。
そんな中、高齢で頑なになっていた自分の父親に、知的障がいをもつ息子のお世話を頼んだところ、父親がとても元気になったことで、「“障がい者”と“高齢者”の組み合わせは、新しいものを生み出すのではないか」と感じたのです。

「通常、老人ホームで高齢者のお世話をするのは現役の介護職員(健常者)です。プラスの力で課題を解決するというのが一般的な考えです。しかし、“課題×課題=問題解決”という発想の転換もありだと思ったのです。父のように、人は果たすべき役割を与えれば心も体も元気になることがあります。お互いが役割を認め、補い合って新しい何かを生み出せるかもしれない、と。それを実践する場としてノキシタをつくりました。」(加藤さん)


障がい者や高齢者、子どもたちの間に世代を超えて会話が生まれる


しかし、ノキシタの設立当初、保育や介護などへの既成概念が強く、ノキシタの想いがうまく伝わりませんでした。例えば、「子どもにケガをさせないで」という保護者が増える中、ノキシタでは「過度な危険回避はマイナスもある」と考え、様々な経験の中から判断力や対応力を学び、生きる力を身につけることを重視します。今では同じ価値観や考え方を共有できる人々が積極的に加わり、ノキシタの存在がSNSや口コミで広まり、仙台市外から通う利用者も増えています。

悩みを抱える子育てママの交流の場にも
そんなノキシタに、新たに集う仲間が増えています。それは子育てママと、その子どもたち。そのきっかけの一人が、すでに子育て支援に取り組んでいた佐藤彩那さんです。
「近年、子育てママの孤立が問題視されています。知り合いが近くにいない中、気軽に集える場所もありません。そんなときにノキシタを知り、“ぜひノキシタを貸してください”と加藤さんにお願いしました。」(佐藤さん)
看護師・保健師であり、ライフキャリアデザインスクールを主催する佐藤さんは、以降、ノキシタで、親子のつながりを楽しめるイベントを企画し、育児相談に積極的に応えています。


「子どもだけでなく保護者も楽しむ」を重視する佐藤さんの活動


また、「子育て支援mikata」の田中知穂さんも、ノキシタで親子向けイベントや教室を開催しています。田中さんは幼稚園の先生として働いていた頃、心の病を経験しました。その時に襲われた孤独感と、後に子育て中に感じた孤独感が似ていることに気づき、同じような経験を他の母親にさせたくないという思いから、子育て支援の活動をスタートしました。


「静」と「動」を使い分けて親子の可能性を高める田中さんの活動


今では自分がいなくても、世代を超えた交流が活発になったと佐藤さんは語ります。
「つい先日も、幼稚園に通う娘のスカートのプリーツが取れてしまったという母親が、ノキシタで知り合った高齢者の方に修理をお願いしたんです。その方は、家に必要な糸があるからと、わざわざ取りに帰ってから直してくれました。”遠い実家の母よりも頼りになる”とのことで、高齢者の方も頼られてすごく嬉しそうでした。」(佐藤さん)

こうしたエピソードは、ノキシタならでは。お互いを尊重し合いながら、まさに加藤さんが思い描いていた“課題×課題=問題解決“の新方程式が、うまく作用しています。

ソーシャルビジネスのモデルケースを目指して
ノキシタによる問題解決のアプローチは、補助金に頼らず、社会保障費の削減も狙いの一つです。
「今後、さらに少子高齢化と人口減少が進み、行政の税収入は減ります。そのために社会保障費を増加しようと議論されるわけです。しかし、それも限度があります。財源がなくなった時、福祉サービスを受けている高齢者や障がい者にシワ寄せがくるのは間違いありません。ですから、お金の流れを根本的に変えて、増税ではなく社会保障費を削減できるような仕組みを作らないといけないと思いました。」(加藤さん)


ノキシタの村長・AiNest代表の加藤清也さん


加藤さんの願いを実現するべく、施設の提案や事業者のコーディネートをしたのは積水ハウス 医療介護戦略室の佐藤哲。試行錯誤しながら多くの人たちと議論を重ねた結果、補助金や助成金に頼らず運営できる施設のあり方を提案しました。各事業者を調整し、民間企業、NPO法人、社会福祉法人の共同運営による多世代交流型の新しいコミュニティが誕生しました。
「子育てや障がいに関する悩みを抱える家族は、地域の支援センターに相談していますが、個々がもつ多様な問題が行政だけでは解決できないこともあります。孤立し、悩みを誰にも話せない人たちが気軽に相談し合える場所をつくることが必要だと考えたのです。」(佐藤)

こうした課題は、被災地に限ったことではありません。都市部や地方で人々が集う場所が減少する中、持続可能な社会を目指すため、環境や課題の変化に対応できる地域コミュニティの構築は急務だと、前述の東京都市大学の古川教授は述べています。
「ノキシタは何もないところに、誰かが渦をつくり、水面下に隠れていた地域課題が浮上してできた場所なのだと思います。ノキシタは、地域と反応して育っていく“生きる集いの場”の先進事例だと思います。」(古川教授)

全国各地に存在する共通の社会課題。
課題解決に向けた新しいかたちのコミュニティが仙台から始まっています。


左から積水ハウス佐藤哲、田中知穂さん、佐藤彩那さん、
AiNestの阿部恵子さん、加藤清也さん


関連リンク:
積水ハウスHP
https://www.sekisuihouse.co.jp/medical/welfare/example/ov_nokishita/
Open Village ノキシタ
https://www.ainest.jp/


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プレスリリース提供元:@Press

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